名古屋から全国へ 先生と塾講師 異色漫才コンビの侮れない実力
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1本のマイクを挟み、ボケとツッコミの応酬で笑いを生み出す漫才。年末年始はネタ番組も目白押しで、楽しんでいる人も多いだろう。だがこの漫才、なにもプロ芸人だけのものではない。名古屋を拠点にする「ガーベラガーデン」は、小学校の先生と塾講師を本業とする異色の社会人コンビだ。【金志尚】
「音楽好きのおじさんがバンドを組む感じ」
「どうもー」。12月上旬の土曜、東京都の新宿文化センター小ホールにコンビを組む2人の姿があった。150人を超える観客の前に登場したボケの井上純徳(よしのり)=芸名・ジッパー=さん(39)が「僕、学校の先生をやっているんですよ」と切り出すと、ツッコミの上浦侑=芸名・かみうら=さん(38)も「僕は塾で先生やっているんですよ」と続いた。2人が舞台に上がる際の定番フレーズだ。
この日披露したのは「怖い話」を巡るネタ。林間学校で子供たちに怖い話をしないといけないという井上さんに、上浦さんが夜の学校に幽霊が現れるという怪談話を勧める。これに井上さんが「幽霊だったら怖くないよ。普段、化け物相手にしているんだよ」とぼやくと、上浦さんがすかさず「ダメ、保護者のこと化け物と言ったら!」。軽妙な掛け合いに会場からは何度も笑いが起きた。
ガーベラガーデンの結成は2007年。もともと名古屋の市民劇団に所属していた井上さんが、やはり同じ劇団にいた上浦さんに声をかけたのがきっかけだ。ともにプロ芸人としての経歴はなく、井上さんは公立小学校の教諭、上浦さんは数学を教える塾講師として普段は働いている。お笑いは好きだが、プロとして売れるのはほんの一握りという厳しい世界。ならばと選んだのが、アマチュアとして追求する道だったという。
「漫才は趣味です」と井上さんが言い切れば、「音楽好きのおじさんがバンドを組む感じでしょうか」と上浦さんもうなずく。互いに本業を持ちながら、合間を縫ってネタを作り、舞台に立ってきたのだ。
本業があるからこその「強み」
とはいえ、その実力を侮るなかれ。若手漫才コンビナンバー1を決める「M―1グランプリ」で、ガーベラガーデンは18、19、21年と計3度、プロでも難しいと言われる準々決勝進出を果たしている。M―1は結成15年以内のコンビを対象にしているため、最後の挑戦となった22年も3回戦まで勝ち進んだ。
今や地元ではちょっとした有名人で、名古屋で単独ライブを開けば会場が満席になるほど…
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