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北海道のグループホームで、結婚や同居を希望する知的障害者のカップル8組が、不妊処置を受けていたことが明らかになった。
20年以上前に始まったとされる。施設を運営する社会福祉法人の理事長は、本人や家族と話し合っているとして「強制は一切ない」と強調している。
障害者カップルによる子育てが困難だと指摘した上で、不妊処置を提案し、同意を得たという。
仮に、子どもが欲しいとの意向が示された場合は、「支援できない」と伝えると説明している。
不妊処置は体への負担が大きい。同意を迫るような状況があったとすれば問題だ。
生活支援が欠かせない障害者にとって、施設側の意向を拒むのは難しい。グループホームのある地域は過疎化が進んでおり、利用できる施設は限られている。
北海道は社会福祉法人に対し、障害者総合支援法に基づく監査を始めた。当事者や家族、職員から事情を聴くという。
どのような対応がなされていたのか、説明や話し合いは丁寧に行われていたのか。実態を明らかにする必要がある。
障害者の子育てを支える仕組みが整っていないのは確かだ。
そもそもグループホームは成人を入居対象としており、出産して子どもと一緒に暮らすことは想定されていない。
施設を出て、ヘルパーの助けを借りながら、子育てをしている人たちもいる。ただ、民間団体や周囲の献身的な協力がなければ難しい。公的な支援制度の構築が急務である。
子どもを産むかどうかを自分たちで決めることは、全ての人に保障された権利だ。
「リプロダクティブ権」と呼ばれ、基本的人権の一つとして、世界的に認識されてきている。
日本には1996年まで、強制的な不妊手術を可能にする優生保護法があった。
障害者の恋愛や性について、タブー視するような風潮は根強い。過去には、性教育に取り組む養護学校がバッシングを受ける事態も起きた。
誰もが安心して出産、育児ができる社会にしなければならない。共生の意識を高める必要がある。