- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

日本は平均賃金で韓国に抜かれ、労働生産性は米国の約6割と言われている。約3年に及ぶ新型コロナウイルス禍は何とか乗り越えつつあるが、ロシアによるウクライナ侵攻の影響が心にも家計にも重くのしかかる。そんな中で幕開けした2023年。日本経済はどこに向かうのか。経済財政諮問会議議員などを務めた経済学者の伊藤元重・東京大名誉教授(71)に聞いた。【聞き手・宇田川恵】
「停滞と安定」の時代は終わる
――コロナ禍に襲われた約3年をどう振り返りますか。
◆長く続いたデフレ、停滞の時代が大きく変わろうとする転換期だったと思います。
今までの20~30年は、停滞はしていましたが、安定もしていたのです。デフレが起き、低金利が続き、経済成長率は非常に低かったものの、倒産件数は少なく抑えられていました。
しかし、コロナ禍で世界経済の成長率は大恐慌以来、最悪の落ち込みとなったうえ、ウクライナ侵攻も生じました。社会や経済にはさまざまな変化が起こり、これまでの常識は通らなくなっています。既に、為替市場では円安が進み、日銀が長期金利の抑制策を修正するなど、金融緩和一辺倒の時代も終わりつつあります。
今後、金利が上がれば、企業の倒産が増えるかもしれません。個々の企業にとってはつらい話ですが、社会全体として見れば新陳代謝が進むという面もあります。今までの「停滞と安定」の時代が「変化と不確実性」の時代に移っていくでしょう。
――成長率の低さが長く課題でしたが。
◆そこが…
この記事は有料記事です。
残り3312文字(全文3937文字)