「切り込まなくては」東京都の太陽光パネル設置義務化、課題は山積

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住宅に設置された太陽光パネル=東京都稲城市で2022年12月18日午後2時41分、黒川晋史撮影
住宅に設置された太陽光パネル=東京都稲城市で2022年12月18日午後2時41分、黒川晋史撮影

 東京都は新築戸建て住宅への太陽光パネル設置義務化を目指し、2022年12月の都議会第4回定例会で改正環境確保条例を成立させた。「30年に00年比で半減」とした温室効果ガス削減の目標を達成するためには、家庭の協力は不可欠と判断し、25年4月の制度開始を予定している。一方で、住宅購入者の負担増をどうカバーするかや、パネルのリサイクルをどうするかなど課題は多く、「見切り発車だ」との批判も根強い。【竹内麻子、黒川晋史、柳澤一男】

新築戸建てに2025年度から

 22年12月中旬。東京都三鷹市のビルの一室に家族連れなど約20人が集まった。戸建て住宅の購入希望者に太陽光パネルが当たる、住宅メーカー「アキュラホーム」(新宿区)の抽選会だ。当選した東京都武蔵村山市の女性(40)は「電気代が安くなるというコスト面から設置を考えていた」と笑顔で話した。

 同社の担当者は「顧客の太陽光発電への関心が高まっていると感じる」と話す。一因とみられるのが、都が打ち出した戸建て住宅への太陽光パネル設置義務化だ。

 住友林業(千代田区)は22年4月、パネル設置を標準化した住宅を発売。オープンハウス(渋谷区)も同月から、新築住宅に設置工事費のみでパネルを導入できるサービスを始めるなど、大手住宅メーカーの間で太陽光パネルの設置は広がりを見せる。

家庭部門に注目

 元環境相の小池百合子知事は、首都・東京の脱炭素化に積極的な姿勢を見せてきた。21年にリモートで開かれた国際会議「ダボス・アジェンダ」では、30年までに温室効果ガスの排出量を00年比で半分にする「カーボンハーフ」を政策目標とすることを表明した。しかし、企業などに二酸化炭素(CO2)排出量の規制を課すなどしてきたものの、現状では達成は難しいと見込まれている。

 そこで都は、…

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