日本と台湾が連絡ルート構築 中国に対抗、水面下で設置
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日本は第二次世界大戦の反省を踏まえ、平和憲法を定めて専守防衛に徹してきた。だが安全保障環境の急速な悪化を受けて、岸田文雄政権は安保関連3文書を改定し、「盾」だけでなく「矛」を持つ方向にかじを切った。「平和国家」はどこへ向かうのか。そこに危うさは無いのか。第1回は、有事の危機が叫ばれる台湾を巡る水面下の攻防を追う。【「平和国家」はどこへ取材班】
連載「平和国家」はどこへは全7回です。
このほかのラインアップは次の通りです。
第2回 台湾有事の日米作戦計画、最終段階に 政府、4年前から想定
第3回 首相、理念乏しき「反撃能力」 契機は総裁選、背景に安倍氏の影
第4回 海底ケーブル巡る水面下の攻防 情報基盤に迫るロシアの脅威
第5回 初の国産機の夢破れ 防衛部門に配置転換
第6回 防衛の助成金、受けるべきか 歓迎と懸念 揺れる北海道大学
第7回 AIの防衛利用具体化 民間技術取り込み加速 進まぬ兵器規制
2022年12月18日、台湾中部・台中市の雑居ビル3階にある一室。部屋の明かりが落とされ、スクリーンに中国人民解放軍と台湾軍の兵士の写真が映し出された。「解放軍の軍服はカーキ色で肩と帽子に中国国旗に使われる星のマークがついている。台湾軍は黒っぽい」。軍事専門家が、熱心に耳を傾ける市民にその違いを詳しく説明した。
中国軍の台湾上陸を想定した説明に、若い男性が不安げに尋ねた。「中国軍の台湾上陸作戦はあり得るのですか」。専門家はこう答えた。「常識的に考えれば中国軍はそれを避けるよう作戦を練るだろう。ただ、今の中国を見ると、起きないと断言はできない」
この講習会は、軍事専門家らで作る市民団体が21年4月、有事に備えて始めた。会場では、救急救命士らが三角巾を使った止血法や包帯の巻き方、けが人の搬送方法などを教え、参加者らが実践した。大学院生の謝竹雯(しゃちくぶん)さんは、自宅がある台北市での講習会が満席で予約できず、新幹線と電車を乗り継いで台中まで足を運んだ。「ロシアのウクライナ侵攻が起き、台湾侵攻にも危機感を感じる」
中国人民解放軍は、米国のペロシ下院議長の訪台に猛反発して22年8月、大規模なミサイル演習を実施。その後も台湾周辺で軍事活動を激化させている。台湾では普段どおりの生活が続くが、謝さんのように不安を感じている人が徐々に増えている。
日本政府は22年12月16日に安保関連3文書を改定し、防衛力の抜本的強化を打ち出した。このうち国家安全保障戦略では、中国が台湾への「武力行使の可能性を否定していない」と指摘したうえで「これまでにない最大の戦略的な挑戦」と警鐘を鳴らした。米軍も、中国による台湾侵攻が差…
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