特集

23年度税・予算

「何が変わる?」「どう変わる?」――。2023年度税制や予算の行方をリポート。

特集一覧

記者の目

「だまし打ち」所得増税 防衛財源、真正面から議論を=高田奈実(東京経済部)

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
与党税制改正大網などの決定後、記者会見に臨む岸田文雄首相。所得増税に関する説明は苦しかった=首相官邸で2022年12月16日、竹内幹撮影
与党税制改正大網などの決定後、記者会見に臨む岸田文雄首相。所得増税に関する説明は苦しかった=首相官邸で2022年12月16日、竹内幹撮影

 「現下の家計を取り巻く状況に配慮し、個人の所得税の負担が増加するような措置は行わない」。昨年12月8日、岸田文雄首相は防衛力強化に向けた財源確保策をめぐり、こう強調してみせた。しかし、そのわずか8日後に決定された2023年度与党税制改正大綱には、法人税、たばこ税に加え、「復興特別所得税」の延長という形で「所得増税」が組み込まれた。

 複数の政府関係者は「首相の発言と整合性は取れる」と弁明するが、多くの人は「8日の首相発言は何だったのか」と感じたのではないか。税制担当記者として一連の経緯を取材してきた私自身、いまだに納得できずにいる。日本の防衛政策の大きな転換期となる重大な決定に、国民を「だまし打ち」するような手法を用いたことは将来に大きな禍根を残しかねない。

この記事は有料記事です。

残り1534文字(全文1867文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集