昨年度のヒグマ捕殺数、過去最多 初の1000頭超 北海道

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道路を悠然と歩くヒグマの親子=北海道斜里町で2022年5月12日午前10時58分、貝塚太一撮影 拡大
道路を悠然と歩くヒグマの親子=北海道斜里町で2022年5月12日午前10時58分、貝塚太一撮影

 2021年度に駆除や狩猟などで捕殺されたヒグマの個体数が、記録の残る1962年度以降で初めて1000頭を超える1056頭だったことが北海道のまとめで判明した。人身被害は14人、農業被害は2億6200万円に上り、いずれも過去最多を記録。生息数が増加し、人里や周辺に出没するケースが増えたことが要因とみられる。【真貝恒平】

 道ヒグマ対策室によると、道内の捕殺の頭数はこの60年間で年度によりばらつきは見られるが、最近5年間は800頭以上の高水準で推移。21年度は前年度比で126頭増で2年連続で過去最多を更新した。内訳をみると、農業・人身被害を防止する害獣駆除が999頭(道許可986頭、環境省許可10頭、警察官命令3頭)▽ハンターの人材育成を目的とした道の許可捕獲が12頭▽狩猟が45頭(猟期は10月~翌年1月の4カ月)――だった。

 人身被害の内訳は死亡が4件4人、負傷が5件10人で、2021年度は、1962年度以降で初めて10人を超えた。21年4月に厚岸町で山菜採り中の男性が襲われて死亡し、7月に福島町で畑仕事をしていた女性も死亡するなどして、被害が相次いだ。さらに、6月に札幌市東区の市街地で4人が重軽傷を負った。

 農業被害は1996年度まで1億円を超えることはなかったが、この25年間で増え続けている。17年度に1億9800万円に上り、以降は4年連続で2億円を上回った。内訳をみると、デントコーンが1億3000万円と約半分を占める。さらに、標茶、厚岸両町で放牧中の牛が相次いで襲われている被害も含まれている。

捕獲頭数、右肩上がり続く可能性

 「捕殺頭数は今回がピークでなく、今後も右肩上がりの可能性がある」。道の担当者が指摘するのは、害獣駆除が年々、増えているからだ。人とヒグマの生活圏が近くなり、あつれきが生まれていることが、捕殺頭数の増加につながっているという。

ヒグマ捕殺頭数の推移 拡大
ヒグマ捕殺頭数の推移

 道内は1966年以降、冬眠中や冬眠明けのヒグマを狙って個体数を抑制する「春グマ駆除」が行われていたが、絶滅のおそれから、90年に廃止となった。このため、約30年間で生息分布も拡大し、個体数も倍以上に増えたという推計もある。人間や人里に慣れたヒグマが増え、住宅地での出没につながっている。一方、駆除する側のハンターの高齢化や人材育成も課題となっている。

 道は2023年2月、これまで規制した子連れと冬眠中の個体捕獲を許可するほか、経験と技術を備えたハンターの育成などの対策を強化する方針。担当者は「まずは人里に出没する個体数を抑制することで、人に警戒心を植え付け、被害防止につなげたい」という。

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