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美術評論家で大原美術館館長の高階秀爾さんのコラムです。展覧会だけでなく、今気になるさまざまなテーマを取り上げます。

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1月 アーティゾン美術館「パリ・オペラ座」展 総合芸術の殿堂=高階秀爾

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エドガー・ドガ「バレエの授業」1873~76年、オルセー美術館 Photo © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Adrien Didierjean / distributed by AMF
エドガー・ドガ「バレエの授業」1873~76年、オルセー美術館 Photo © RMN-Grand Palais (musée d'Orsay) / Adrien Didierjean / distributed by AMF

 オペラ座と言えば、パリ観光の目玉である。建築家シャルル・ガルニエの設計によるこのネオ・バロック様式の建物の前に立つと、まず2階部分のコリント式列柱回廊の整然とした快いリズム感が心を捉える。続いて見上げると、頭頂部のさらにその上に、エメ・ミレーの「アポロ」「詩」「音楽」の金色の群像彫刻が天に向かって燦然(さんぜん)と輝く。1階の入り口部分、完成当時物議をかもしたというカルポーの艶麗な裸婦群像に見守られて中へと進む。

 大階段を上って宏壮(こうそう)なグラン・フォワイエ(大休憩室)にはいると、まずポール・ボードリーの装飾壁画が目にはいる。ボードリーはローマ賞受賞者で、ローマでみっちり修業した優れた技量の持ち主である。そのボードリーがグラン・フォワイエの装飾壁画に苦心を重ねたのは、何よりも周囲のきらびやかな装飾と対抗するためであったろう。

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