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待機児童減り不適切事例相次ぐ 保育の「質」にもっと光を=鈴木直(オピニオングループ)

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「保育園落ちた日本死ね!!!」とのブログに賛同した2万7000人分の署名を受け取る塩崎恭久厚労相(当時、右端)。このブログは大きな共感を呼び、政府・与党も無視できなくなった=国会内で2016年3月9日、藤井太郎撮影
「保育園落ちた日本死ね!!!」とのブログに賛同した2万7000人分の署名を受け取る塩崎恭久厚労相(当時、右端)。このブログは大きな共感を呼び、政府・与党も無視できなくなった=国会内で2016年3月9日、藤井太郎撮影

 2022年は、保育のあり方を考えさせる年だった。年末に各地で暴行などの「不適切保育」が相次いで発覚。9月には送迎バスに3歳の園児が放置され、死亡している。一方、8月公表の待機児童数は2944人と過去最少に。ピーク(17年)の2万6081人とは文字通り桁違いの数字だ。出生数の減少や、新型コロナウイルスの感染拡大による利用控えも要因とみられるが、ここ数年の対策の成果と考えてよいだろう。

 不適切保育などの問題と待機児童の劇的減少。この二つは、かつて保育制度を取材していた私には、表裏の関係にあるように思えてならない。待機児童対策は、保育定員という「量」の追求だ。この間、保育園の広さや保育士の数といった「質」が置き去りにされていなかっただろうか。個々の問題には原因究明と再発防止が求められるが、「量」で成果が見えてきた今、「質」に焦点を当てた議論をする時期に来ていると思う。

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