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大阪湾の淀川河口付近にとどまっていたクジラについて、大阪市は13日、死んでいるのを確認したと発表した。数日前から動く様子がなく、専門家が現地で調べた。市は関係機関と協議して今後の対応を決める。
淀川河口付近で力尽きたクジラは何らかの原因で衰弱し、本来は姿を見せない大阪湾に流れ着いたと複数の専門家が指摘する。9日朝に確認されて11日夕には動かなくなっていた。クジラはなぜ死んだのか。
一般財団法人「日本鯨類研究所」(東京都)の資源管理部門長、田村力さん(54)はクジラ類は体温が高く、死ぬと腐敗が早いとし、「解剖しても死因の特定は難しいだろう」と話す。
死んだクジラは今後どうなるのか。水産庁によると、漂着したクジラの処理マニュアルに基づき、陸揚げして焼却したり、砂浜などに埋めたりする。骨は希望する博物館などに提供することもあるという。重りをつけて外洋に沈める手段も考えられるとしている。
三重大の吉岡基教授(海生哺乳動物学)によると、伊勢湾で2007年12月~08年2月、同じ個体とみられる生きたマッコウクジラ(体長17メートル)が迷い込み、湾内で死んだ。漂流して近くののり養殖施設に衝突するのを防ぐため、四日市海上保安部の巡視船などがワイヤでえい航し、湾外に移動させたという。
大阪市立自然史博物館などによると、大阪湾では1990年以降、計7頭のクジラが死んだ状態で見つかっている。直近では21年7月、府南部の大津川河口にニタリクジラ(体長約11メートル)が漂流。大阪港湾局が大型クレーンで陸揚げし、堺市の産業廃棄物用ヤードへ運んで埋めた。処理費用は約900万円という。22年12月に掘り起こして、自然史博物館が骨格標本にする作業を進めている。
このほか、10年5月に堺市西区の堺泉北港内に漂着したマッコウクジラ(体長約9メートル)は、陸揚げ後に解体され、肉は焼却処分された。骨格標本を同館が展示している。和田岳・同館主任学芸員は「今回のように生きたクジラが大阪湾に入ってくるのは非常に珍しい。死んでしまったが、貴重な研究材料となるので、骨格標本にできれば」と話した。【川畑さおり、近藤諭】