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安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、山上徹也容疑者が殺人罪などで起訴された。
今後、裁判員裁判で審理される。公開の法廷で事件の全容を徹底解明する必要がある。
背景としてクローズアップされたのが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題だ。
山上被告は奈良県警の調べに、母親が入信して1億円を超える献金をしたため、家庭が崩壊したと説明した。
その上で「旧統一教会の活動を国内に広めたのが安倍氏だと思い、狙った」と供述したという。
安倍氏は2021年9月、教団の関連組織が開催した行事に動画メッセージを寄せていた。山上被告はこれを見て、反感を強めたとされる。
いかなる事情があっても、人命を奪うことは許されない。
ただ、銃撃に至った経緯は、詳細に明らかにされなければならない。安倍氏と教団の関わりも焦点となる。
山上被告は昨年7月、奈良市で参院選の応援演説中だった安倍氏を狙った。金属製の筒2本をテープで束ね、1本から最大6発の弾を発射できる手製の銃を使った。
インターネットの情報などを基に作り、試し撃ちして威力を高めていた。事件前日にも岡山市で狙おうとしており、襲撃の強い意志と計画性がうかがわれる。
現行犯逮捕から半年が経過しての起訴となった。責任能力を明確にするため、奈良地検が精神鑑定をしていたからだ。
鑑定留置は5カ月半という異例の長期に及んだ。その内容についても丁寧な説明が求められる。
裁判とは別に、政治の取り組みも欠かせない。
安倍氏と教団の関わりについて、岸田文雄首相は調査を拒んでいる。しかし、安倍氏が国政選挙で、教団の組織票を差配していたとの証言がある。
自民党が教団と関係を持つようになったのは、安倍氏の祖父・岸信介元首相にさかのぼる。清和会(現安倍派)を中心に半世紀にわたって続いてきた。
首相経験者が戦後初めて殺害された事件である。社会に与えた衝撃は計り知れない。自民党も背景の解明に努めるべきだ。