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記者で描く新たな女性像=勝田友巳

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「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」の一場面。記者のジョディ(左端)は2児の母親だ
「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」の一場面。記者のジョディ(左端)は2児の母親だ

 お正月、近所のシネコンで「空の大怪獣 ラドン」(1956年、本多猪四郎監督)を見ていたら、新聞記者が出てきた。同業者はスクリーンの中でも気になるもの。

 田島義文演じる地元紙記者が、怪生物が人間を襲った事件を取材しに阿蘇の炭鉱に乗り込んでくる。死者が出て大騒ぎの中、事務所の電話を占拠して記事を送り、事故現場にも警察署にもズカズカ入り込んで一番大きな顔をしていた。田島は他の映画でも記者を演じていたけれど、いつも態度がでかくてずうずうしい。でも憎めない。この時代の「ブン屋」のイメージがうかがえる。

 もちろん、記者の本分は調子のいい狂言回しではなく、真実を追究し権力を監視すること。地道に取材を積み重ねる調査報道ものは胸躍る。古い作品だが日本でも「ペン偽らず 暴力の街」(50年、山本薩夫監督)、「帝銀事件 死刑囚」(64年、熊井啓監督)などで新聞記者が大活躍したし、最近では「新聞記者」(2019年、藤井道人監督)もあった。

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