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国内で初めて新型コロナの患者が確認されてから15日で3年が経過した。パンデミック(世界的大流行)を経て、社会はどう正常化していくのか。各分野の現状を連載しながら、ウィズコロナ時代を展望する。
連載「パンデミックの先に」は、全7回です。
このほかのラインアップは次の通りです。
第1回 感染で認知症リスクが上がる
第2回 重くのしかかる後遺症
第4回 子どもの発達に影響
第5回 飲食店が見いだした活路
第6回 移住で浮かんだ課題
第7回 途上国「コロナは過去の話」
とっさについたうそ
とっさに上司にうそをついてしまった。面談で新型コロナウイルスワクチンの接種回数を尋ねられ、「3回です」と答えた。男性(38)はうそをつくタイプではないが、後ろめたさはなかった。
東京都内に住む男性は公務員として働く。職場には「ワクチン接種は当たり前」という雰囲気があるが、一度も接種していない。
コロナ対策の切り札として期待されたm(メッセンジャー)RNAワクチンは、パンデミックから1年も満たないうちに開発された。政府はこれまで実用化されたワクチンと同様、臨床試験から有効性と安全性が確認されていると説明しているが、男性は納得いかない。
なぜか。「過去の薬害をみても、接種から10年とか20年とかたって初めて安全と分かるのではないか。安全性に対する政府の説明が不足しているようにも思える」。男性はきっぱりと理由を述べた。
それでも接種しようか悩んだのは、昨年秋に感染した時だ。発熱症状が治まっても、味覚や嗅覚が失われた時期があり、「ワクチンを打っておけば」と後悔した。だが、症状が2週間で回復すると、その気持ちは薄れた。副反応に関するニュースをみる度、「間違っていなかった」とほっとする。
ワクチンが危険だと声高に訴えたいわけではない。「打たない判断」を隠さないといけないことに息苦しさを感じているだけだ。観光需要喚起策として政府が始めた「全国旅行支援」は、接種歴がなければ検査で陰性であることを証明しないといけないため利用しづらい。男性は旅行好きだったが、「仕方ない」とこぼす。
連載「パンデミックの先に」、次回は子どもの発達に与えた影響について報告します。
救済の出足鈍く
ワクチンの接種を妨害したり、デマを流したりするような反ワクチン団体の主張に賛同はしないが、気持ちは分からないでもない。手法は強引だが、デモの様子を見た時、「ちょっとだけ共感した」と話す。それは接種を強力に進める政府にあらがう姿が、自分と重なったように映ったからだ。
2021年2月に始まったワクチンの総接種回数は3億7000万回を超えた…
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