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パンデミックの先に

見えない口元、感情の機微 子どもの発達に影響するコロナ対策

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コロナ禍の中、間隔を空け、対面しないようにして子どもに食事をさせる保育士=東京都世田谷区で2022年12月8日午前11時56分、宮本明登撮影
コロナ禍の中、間隔を空け、対面しないようにして子どもに食事をさせる保育士=東京都世田谷区で2022年12月8日午前11時56分、宮本明登撮影

 国内で初めて新型コロナの患者が確認されてから15日で3年が経過した。パンデミック(世界的大流行)を経て、社会はどう正常化していくのか。各分野の現状を連載しながら、ウィズコロナ時代を展望する。

 連載「パンデミックの先に」は、全7回です。
 このほかのラインアップは次の通りです。
 第1回 感染で認知症リスクが上がる
 第2回 重くのしかかる後遺症
 第3回 ワクチン不信の背景
 第5回 飲食店が見いだした活路
 第6回 移住で浮かんだ課題
 第7回 途上国「コロナは過去の話」

 「『ぱぴぷぺぽ』は、唇をつけるんだよ。言ってごらん」

 3歳児に優しく声を掛ける保育士の女性の口元は、マスクで覆われている。幼児に多い「ぱ行」の言い間違いを指摘しようにも、口元を子どもに見せられず、もどかしさを感じている。

 女性が勤務する「駒沢わこう保育園」(東京都世田谷区)は、子どもの前では原則、保育士のマスク着用を義務付けている。マスクは感染予防に効果があるとされる一方、着用していると子どもに目と声色だけで感情を伝えることになり、口元やほおの動きで感情の機微を伝えるのが難しくなる。

 他園も含めたこれまでの保育経験から「子どもは口元をよく見て言葉を学習すると実感しています。耳だけで教えようとするのは難しい」と、この女性は訴える。

 ちょっとした違和感も増えた。例えば「活動を見守っているだけなのに、子どもからは目元ばかりが強調されるので、『やってはいけないと注意しようとしているのかな』と勘違いしてしまうこともある」というようなものだ。

 マスクの着用に加え、地域の高齢者が集まる餅つきやクリスマス会など季節の催しは中止になった。入園式や運動会も、保護者ですら参加人数を制限した。

 全国の保育園でも見られた光景だが、新型コロナウイルス下での感染予防対策が子どもの発達や発育に影響しているのではないか、と感じる保育士や有識者は多い。

 新潟県内で働く保育士の男性(36)もそんな一人だ。マスクの着用が求められた頃、子どもたちが互いに喜んでいるのか、怒っているのかを読み取れず、けんかになるトラブルが増えたという。

 男性は「言葉をかけて伝えることは子どもにとって、とても大事。ボディーランゲージで伝える部分もあるので、保育士は表情豊かに声を掛けることを心がけるが、マスクでやりづらくなった」と頭を悩ませる。

 駒沢わこう保育園でも、初めはいつもと違うマスク姿に不安感を示す子どもや、急に走り出したり、大きな声を出したりする子どもが散見されたという。コロナ対策がなければ、園児と一緒に給食を食べられるが、今はできない。口の動きを見せながら「よくかんで食べようね」という声も掛けられなくなった。

連載「パンデミックの先に」、次回は飲食店が見いだした活路について報告します。

喜び、悲しみを共有する感性は

 保育園の活動がどう変化したかを調べた東京大発達保育実践政策学センターの調査によると、第3波に直面した2020年12月~21年3月の間、常にマスクをしていたのは280園のうち69・6%に上った。30・1%は必要に応じて外すなどの対応を取ったという。行事の中止や縮小などの見直しをしたのは78・6%に達したという。

 同センターの野澤祥子准教授(保育学)は「乳幼児は、相手の口元を見る時期があり、言葉の発達につながっていると考えられている」と、子どもの発達におけるマスクの弊害を指摘する。一般的に、幼少期は大人の表情をまねて感じる気持ち…

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【新型コロナウイルス】

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