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歳出過去最大23年度当初予算案 「負担」議論から逃げるな=松倉佑輔(東京経済部)

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2023年度当初予算案を決定する臨時閣議に臨む岸田文雄首相(中央)=22年12月23日、竹内幹撮影
2023年度当初予算案を決定する臨時閣議に臨む岸田文雄首相(中央)=22年12月23日、竹内幹撮影

 政府が昨年末に閣議決定した2023年度当初予算案は、一般会計の歳出総額が114兆3812億円となり、11年連続で過去最大を更新した。高齢化に伴う社会保障費の増大に加え、岸田文雄首相が打ち出した防衛力強化に向けた予算の重点配分で歳出が大きく膨らんだ。

 担当記者として一連の予算編成を取材して感じたのは、歳出拡大が早々に決まる一方で、その裏付けとなる「負担」に関する議論は後手に回ったということだ。山積する日本の課題に対応するため、どの政策を優先させ、その財源を誰が負担するのか。政治はこうした判断を先送りすることなく丁寧に説明すべきだ。

 「23年度予算は日本が直面する歴史的な難局を乗り越え、我が国の未来を切り開くための予算。裏付けとなる財源と合わせ、防衛力の抜本的な強化を進めていく」。予算案を決定した12月23日、岸田氏はこう胸を張った。防衛力強化に向けて必要な財源を責任を持って確保したと強調したかったのだろう。しかし、財政の実態は危うい。

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