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コロナ死者最多の背景に「隠れ陽性者」 新たな派生型の懸念も

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新型コロナの重症病床に入院する患者(左)と対応するスタッフ=福岡市城南区の福岡大学病院で2023年1月17日午前11時1分、平川昌範撮影(画像の一部を加工しています)
新型コロナの重症病床に入院する患者(左)と対応するスタッフ=福岡市城南区の福岡大学病院で2023年1月17日午前11時1分、平川昌範撮影(画像の一部を加工しています)

 新型コロナウイルスの今冬の感染の波では、1日当たりの死者数が過去最多を更新した。オミクロン株になり、死亡率は低下しているのになぜなのか。専門家らは「隠れ陽性者」の存在を指摘する。脳卒中や心筋梗塞(こうそく)の患者が増える冬、医療現場の逼迫(ひっぱく)は深刻さを増している。

救急医療「既に破綻」

 17日、福岡市城南区の福岡大学病院救命救急センターにある新型コロナの重症患者用の病床では、高齢の患者が人工呼吸器につながれていた。周囲では感染防護具を着けた看護師らが慌ただしく動き回っていた。石倉宏恭センター長(64)は「昨年のクリスマス以降、入院が必要な患者が一気に増えた」と振り返る。

 同院では1月初旬に新型コロナの確保病床を増やしたばかりだが、17日時点で重症病床7床のうち5床が埋まり、中等症以下の病床でも確保した26床を超えて28人を受け入れている。福岡都市圏で「最後のとりで」となる3次救急を担ってきたが、病床や要員を新型コロナに割かざるを得なくなり、救急の受け入れを断るケースも相次いでいる。

 2022年8月にピークを迎えた「第7波」と異なり、今冬の波は脳卒中や心筋梗塞の患者が増える季節に重なった。「救急医療はすでに破綻している。40年近く携わっているが、こんなことは初めてだ」。石倉センター長は苦渋の表情を見せた。

 医療が逼迫する中、目立つのは死者数の多さだ。厚生労働省が発表する1日当たりの全国の新規感染者数では、この冬の最多が24万6632人(1月6日)で、表面的には第7波で最多の26万1004人(22年8月19日)を下回っている。

 だが、新型コロナによる1日当たりの死者数は14日に503人と過去最多を更新するなど、第7波のピーク(22年9月2日、347人)を超えている。

 なぜ死者数が多いのか。石倉センター長は、数字に表れない「隠れ陽性者」の存在を指摘する。…

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