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パンデミックの先に

コロナ禍、テレワークで移住ライフ 地方再生へ見えた課題

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移住希望者らの交流イベント=静岡県三島市で2022年12月23日午後8時3分、福富智撮影
移住希望者らの交流イベント=静岡県三島市で2022年12月23日午後8時3分、福富智撮影

 国内で初めて新型コロナの患者が確認されてから15日で3年が経過した。パンデミック(世界的大流行)を経て、社会はどう正常化していくのか。各分野の現状を連載しながら、ウィズコロナ時代を展望する。

 連載「パンデミックの先に」は、全7回です。
 このほかのラインアップは次の通りです。
 第1回 感染で認知症リスクが上がる
 第2回 重くのしかかる後遺症
 第3回 ワクチン不信の背景
 第4回 子どもの発達に影響
 第5回 飲食店が見いだした活路
 第7回 途上国「コロナは過去の話」

 新型コロナウイルス禍でテレワークが進み、地方への移住に関心が高まった。東京一極集中の是正に向け、移住者を今後増やしていくには何が必要なのか。一方、都心部ではオフィスビルの供給過剰などが指摘されており、将来の都市のあり方も問われる。

 JR三島駅(静岡県三島市)にほど近い市立公園「楽寿園」。家族連れでにぎわう週末、東京都内のIT関係企業に勤める結城久美子さん(46)は、小学2年の長男と一緒に園内にいる動物とのふれあいを楽しんだ。

 静岡県は伊豆半島や富士山を有し、首都圏からの移住希望先として人気トップクラスを誇る。中でも新幹線を使えば40~50分程度で東京にアクセスできる三島市は、2021年度の県外からの移住者が171人と県内の自治体で最も多かった。結城さんもコロナでリモート勤務が可能になったため、21年春に東京都渋谷区から移住した。楽寿園は自宅から歩いて通える距離にあり「三島は子育てにぴったりな環境」と気に入っている。

 コロナ禍で移住への関心はかつてないほど高まった。総務省によると、全国の自治体が受けた移住の相談件数は21年度に過去最多の約32万4000件となり、前年度より3万件以上増えた。東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県)は、19年まで転入者が転出者を13万人前後上回る転入超過の状態だった。コロナ後も転入超過は続いているが、移住の増加や行動制限などの影響で21年は約8万人と、その規模は6割程度に縮小している。

 働き方も大きく変わった。リモート勤務が広がり、移住後も転職せずに東京などの会社で働く「リモートワーカー」が増えている。市野史佳さん(30)は21年春に埼玉県から移住した。コロナ禍で勤め先の市場調査会社がフルリモート勤務に変わったことがきっかけだった。伊豆や小田原を訪れるのが好きで「住むのもありかなと思った」という。転勤制度そのものを改める企業も相次ぎ、富士通は20年に在宅勤務を基本とする働き方に変更。ヤフーやNTTもこれまでに社員が居住地を自由に選べる制度を導入している。

連載「パンデミックの先に」、次回は途上国でコロナが過去の話になっている現状について報告します。

「田舎暮らし」求めていない

 ただ、足元ではコロナへの警戒が和らぎ、出勤を増やす企業が増えている。市野さんも現在は月に8回ほど出勤している。新幹線など特急料金は会社から支給されないため、在来線で2時間以上かけて通っており「移住のメリットが薄れた」と複雑な表情を浮かべる。三島市の担当者によると「移住者の多くは『田舎暮らし』までは求めておらず、首都圏と同じ暮らしを望む人が多い」という。

 22年1~11月の東京圏への転入超過は約9万4000人(日本人のみ)となり、東京への転入の流れがまた増えている実態も見て取れる。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子(かなこ)人口動態シニアリサーチャーは「コロナ禍が東京圏への移動を抑えていただけで、一極集中の状態がほぼ完全に復活した」と分析する。

 コロナ禍前から東北や東海など東京に近…

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