居住地自由のリモート勤務 NTTの働き方改革は何をもたらしたか

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IT機器を使った効率的なイチゴ栽培の様子を、関係者らと畑に見に行くNTT東日本の中戸川将大さん(右奥から2人目)=NTT東日本提供
IT機器を使った効率的なイチゴ栽培の様子を、関係者らと畑に見に行くNTT東日本の中戸川将大さん(右奥から2人目)=NTT東日本提供

 NTTは2022年7月、居住地自由、飛行機通勤を含むリモートワークを認める新たな勤務制度を導入した。今後のグローバル化を見据え、米巨大IT企業「GAFA」への人材流出を防ぐためだ。地方在住のリモート勤務とはどんな暮らしなのか。それがNTTに何をもたらしているのか。

「居住地自由」でNTTが目指していることを人事担当役員に聞きました。インタビューはこちらです。

秋田から東京へ月1回「飛行機通勤」

 NTT東日本と子会社のNTTアグリテクノロジーの社員を兼務する中戸川将大(まさひろ)さん(39)はウイークデーの朝、秋田市の自宅兼オフィスを車で出発した。

 田んぼ道を抜け、秋田市に隣接する秋田県潟上市のイチゴ農家を訪問する。NTT東が納入するビニールハウスの湿度やCO2などを計測する機器や、収穫ロボットの稼働状況をチェックするためだ。

 移動途中、道の駅に立ち寄り、アプリを使った農産物の販売や在庫管理など、NTTグループのシステムを活用した効率的な店舗運営を考える。

 自宅に戻ると、パソコンを広げ、福島、三重、広島など全国の農業や漁業の生産地とオンライン会議を開く。

 会議の相手は、生産者はもちろん、地域活性化を狙う自治体担当者、生産効率化のためNTT東が提供するIT機器のデータを解析する大学関係者、機器への投資で生産者の経営が成り立つかを考える金融機関などだ。

 「ワイン用のブドウ生産を、もっと安定させたい」「養殖のコイをどうやったら多くの人に食べてもらえるか」――。人手不足を解消し、名産品を育てて地域の活性化を目指すための案件は多岐にわたる。

 秋田市をベースに働いている中戸川さんだが、所属するのは、いずれも東京にあるNTT東経営企画部と、NTTアグリテクノロジー本社だ。

 新型コロナウイルス禍に伴うリモ…

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