「ワクチン平等」目指したが… なぜアフリカで夢が破れたのか
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国内で初めて新型コロナの患者が確認されてから15日で3年が経過した。パンデミック(世界的大流行)を経て、社会はどう正常化していくのか。各分野の現状を連載しながら、ウィズコロナ時代を展望する。
連載「パンデミックの先に」は、全7回です。
このほかのラインアップは次の通りです。
第1回 感染で認知症リスクが上がる
第2回 重くのしかかる後遺症
第3回 ワクチン不信の背景
第4回 子どもの発達に影響
第5回 飲食店が見いだした活路
第6回 移住で浮かんだ課題
新型コロナウイルスの感染拡大では、国際社会が初めて、貧富の差にかかわらず平等にワクチンを提供するとの目標に挑戦した。だがそれは成功したとは言いがたく、特にアフリカでは数多くの課題を残した。国際社会では将来の新たなパンデミック(世界的大流行)の発生に備えてルール作りも始まっているが、道のりは険しい。
世界保健機関(WHO)などが作った枠組み「COVAX(コバックス)」は、新型コロナワクチンの「卸問屋」に当たる。製薬会社から大量のワクチンをまとめて購入し、人口に応じて平等に各国に分配する。貧困国には日本を含む富裕国から支援を受けて無償で提供できるようにして、2021年2月から順次配布が始まった。
「16億6000万回のワクチンを92の貧困国に提供した」。COVAXの運営に携わる国際機関「感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)」で最高経営責任者(CEO)を務めるリチャード・ハシェット氏は22年12月21日、COVAXの成果を誇った。ただ、こうも強調した。「同時に、世界が達成できなかったことを忘れてはならない」
COVAXは高い理想を掲げる一方で、取り組みを進める過程で誤算が続いた。
当初は国際社会からの寄付がなかなか集まらなかった。また世界的な需要の高まりでワクチンが不足し、COVAX自体が資金力のある先進国とのワクチン獲得競争に巻き込まれた。欧米や日本などが高い代金を支払って製薬会社からワクチンを優先的に購入したため、結果的に貧困国への供給が遅れた。
中国やロシアなどはワクチン不足に悩む国々に自国製のワクチンを提供して途上国への影響力強化に利用する「ワクチン外交」を活発化。主要7カ国(G7)が対抗する動きを見せ、ワクチンが大国間の政争の具と化して供給が影響を受けた。
ワクチンを受ける側の課題も少なくない。国際社会の支援でアフリカ各国にワクチンが届くようになって以降も、接種をスムーズに進めるだけの資金や行政基盤、医療体制が十分でない国も多く、ワクチンをさばけないまま廃棄するケースも相次いだ。
アフリカでは「ワクチンを打つと…
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