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身なりは立派とは言えない。髪もぼさぼさで、武士ではあっても、たぶん下士だろう。大柄で、背中が広く、腰も張り、腕が太い。
森の木々に斧(おの)を振るっているほうが、よほど似合っていそうな男が、裏道やへんろ道からも外れた、こんな茂みの奥で、腹を押さえてのたうっている。それこそ獣じみた、いかめしい面(つら)つきだろうと予想していた。
だが、ヒスイの前には、薄く無精ひげが伸びてはいるが、品のある端正な顔がある。
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