本当に必要なのは「脱こども食堂」 ボランティアおばちゃんの願い
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子どもに無料や低額で食事を提供する「こども食堂」は2012年に東京都大田区で取り組みが始まってからわずか10年余で各地に広がりました。苦しい生活状況が続き、その存在価値は増しています。現状を知ろうと、こども食堂と、食材などの配布を長年やってきた女性に取材をお願いしたところ、はっとさせられる言葉が返ってきました。「こども食堂は本当はつなぎ役であるはず。(国や各自治体は)もっと考えるべきことがあるんじゃないかな」【東京社会部・銭場裕司】
コメ、パン、バナナ、イチゴ、チョコレート……。19日午後4時過ぎ、京急線北品川駅(東京都品川区)から歩いてすぐのところにある町会の集会所に、車で食材が次々と運ばれてくる。事業者らから直接提供を受けたものや、社会福祉協議会を通して届けられるなどしたものだ。区内の経営者が出したポケットマネーが購入の原資になった弁当も並ぶ。
この日は41家族(子ども87人)から受け取りの申し込みがあった。午後5時半に配布が始まると行列もできた。「豚こま(豚肉の細切れ)、500グラム入っています」。そう声をかけられて、袋を受け取った女性は「良かったあ。ありがとうございます」とほっとしていた。
半信半疑でスタート
家で食べてもらうために、食材や弁当を配る取り組みは「クロモンこども食堂」が手がけている。代表の薄葉(うすば)聖子さん(58)は仲間から親しみを込めて「うーさん」と呼ばれている。
会社員だったが、40代になってから、子どもの頃から親しんだ「北品川本通り商店会」にクロモンカフェを開店した。店を始めて6年がたった15年9月のことだ。知り合いから「ご飯を食べられない子どもがいるらしいよ。こども食堂って知ってる?」と声をかけられた。
薄葉さんは「今の時代にそんな子がいるのかな」と半信半疑だったものの、…
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