「わたし、しあわせ」 桜の下、描いた夢半ば 妻は日本で殺された

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亡くなったヴォ・ティ・レ・クインさん(左)は、夫のファン・タン・ユィさんと2016年1月に夫婦になった。結婚の記念撮影では2人そろって黄色のドレスとスーツに身を包んだ=ユィさん提供
亡くなったヴォ・ティ・レ・クインさん(左)は、夫のファン・タン・ユィさんと2016年1月に夫婦になった。結婚の記念撮影では2人そろって黄色のドレスとスーツに身を包んだ=ユィさん提供

 小雨が舞う大阪城公園(大阪市中央区)で、色とりどりの桜が満開を迎えようとしている。国内外に伝統文化の魅力を発信する天守閣も紹介されている。「ユーチューブ」に投稿された1本の動画に、異国の地を心から愛した妻の夢が詰まっていた。その夢は理不尽な事件に打ち砕かれた。

 「奥さんは花が一番好きで、僕なんて2番目。特に桜がお気に入りでした」。金属加工会社で働くベトナム国籍のファン・タン・ユィさん(36)=大阪市西淀川区=はこう振り返る。

フェイスブックで一目ぼれ

 動画は2022年3月下旬、妻のヴォ・ティ・レ・クインさん(当時31歳)が撮影した。「そろそろ桜が見たいな」。妻から誘われ、大阪城公園に夫婦で足を運んだ。

 ビデオカメラを回す妻に寄り添い、桜の木々の間をゆっくりと抜けていく。ユィさんはいとおしい妻を見ているだけで心が満たされた。

 「わたし、しあわせ」

 結婚をきっかけにベトナムから来日した妻は、ほほえみながらそんな言葉もかけてくれた。この地で末永く暮らし、新しい家族も授かりたかった。「夫婦でたくさんの夢を語り合った。そんな幸せな日々がずっと続くと思っていました」

 しかし、あの日を境にユィさんの表情からは笑顔が消えた。

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