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「反ユダヤ」拡散防止に結束を エイブラハム・クーパー サイモン・ウィーゼンタール・センター副所長

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「サイモン・ウィーゼンタール・センター」副所長のエイブラハム・クーパー氏=金寿英撮影
「サイモン・ウィーゼンタール・センター」副所長のエイブラハム・クーパー氏=金寿英撮影

 新型コロナウイルスの感染が拡大した社会で、SNS(ネット交流サービス)は、社会とのつながりを断たれた人々が相互につながる生命線として有効に活用された。一方で、コロナによってSNSの負の影響力も増した。たとえばワクチンへの不安や政府のコロナ対策に不信感を抱く人々が、SNS上で拡散する陰謀論に傾倒するケースが挙げられる。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を否定する反ユダヤ主義やヘイトスピーチ(憎悪表現)の横行もその例だ。インターネット上でのこうした言説がコロナの感染拡大後、さらに広がっている。

 SNSは言論の自由と関連して議論されがちだが、投稿されるコンテンツは記者が書いた記事などと異なる。企業や個人が自社製品の宣伝や自らの意見の拡散に使うケースが多い。過激派が、匿名性を隠れみのにしてこれを利用しない手はない。適切に導いてくれる教師も親もいないネットの世界で過激主義や歴史修正主義の宣伝にさらされ続ければ、特に歴史の知識に乏しい未成年たちは、もっともらしく聞こえる暴論の影響を受けやすい。

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