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このコラムで何度も紹介しているが、筆者は元々ダニ学者である。大学生から企業の研究所勤務時代にかけての研究対象が、植物に寄生する「ハダニ」だった。
ハダニはさまざまな農作物の葉や果実に付着して、その汁を吸う。放っておくと猛烈に増殖し、植物を枯らしてしまうこともある。筆者は、この害虫の生態や遺伝を調べるため、実験室内でインゲンなど植物の苗を栽培し、そこにハダニを寄生させて飼育していた。
学生時代のある日、いつものように飼育室からハダニが付着した葉を回収し、顕微鏡で観察したときに衝撃を受けた。葉に乗っているハダニが全部、真っ白な綿状の菌糸に覆われて動きが止まっていたのである。さながらアニメ映画「風の谷のナウシカ」に登場する、腐海(ふかい)に覆われてミイラ化した王蟲(オーム)のごとくであった。
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