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第95回センバツ高校野球

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清原和博さんの次男・勝児選手がセンバツへ 大切にする父の助言

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高校野球秋季関東大会で、専大松戸との準決勝に出場した慶応・清原勝児選手=埼玉県営大宮公園野球場で2022年10月29日午後1時22分、浅妻博之撮影
高校野球秋季関東大会で、専大松戸との準決勝に出場した慶応・清原勝児選手=埼玉県営大宮公園野球場で2022年10月29日午後1時22分、浅妻博之撮影

 高校野球の聖地に「清原」が帰ってくる。今春の第95回記念選抜高校野球大会の出場校が27日に発表され、大阪・PL学園高時代に甲子園で春夏通算最多13本塁打を放った清原和博さんの次男・勝児(かつじ)選手(1年)がいる慶応(神奈川)が、センバツ切符をつかんだ。「父も活躍した夢の舞台。自分も立ってみたい」。強打者の息子として注目される中、父からもらった、ある助言を大切にしてきた。

昨秋の関東大会で本塁打

 勝児選手は右打ちの三塁手で、2022年の秋季関東大会の打順は「6番」か「7番」だった。名門・PL学園高の4番だった父のようなスラッガータイプではない。173センチ、80キロの体格で、好機で犠打のサインが出ることもある。ただ、絶好のタイミングで球をとらえた時の飛距離と、狙い球を一発で仕留める勝負強さは父と重なる。

高校野球の2022年秋季関東大会1回戦の常磐大高戦で、四回裏慶応1死一塁、左越え2ランを放ち、笑顔でダイヤモンドを回る清原勝児選手=埼玉・レジデンシャルスタジアム大宮で2022年10月22日、浅妻博之撮影
高校野球の2022年秋季関東大会1回戦の常磐大高戦で、四回裏慶応1死一塁、左越え2ランを放ち、笑顔でダイヤモンドを回る清原勝児選手=埼玉・レジデンシャルスタジアム大宮で2022年10月22日、浅妻博之撮影

 昨秋は神奈川大会で満塁本塁打を打ち、関東大会の1回戦でも父が見守る前で左翼ポール際に豪快な一発を放った。前の打席で打ち取られた内角球に狙いを絞り、2ボールから仕留めた。「高校野球でお父さんの前で打つのは初めてなので、球場で見せられて良かった」。笑顔で声を弾ませた。

 父はPL学園高時代に5季連続で甲子園に出場し、優勝と準優勝が各2回。桑田真澄・巨人ファーム総監督と「KKコンビ」と呼ばれたスターだった。ドラフト1位でプロ野球・西武に入団し、巨人、オリックス時代を含めて歴代5位の通算525本塁打を放った。常に注目される重圧を抱えながら、チームを何度も日本一に導いた。

 勝児選手も試合に出るようになった昨秋から「清原ジュニア」として一気に注目を集めた。高校野球雑誌の表紙を飾り、大会に出場すれば活躍しなくても取材に呼ばれた。それでも常に優しいまなざしで、楽しそうに明るくハキハキと質問に答える姿が印象的だ。

「注目されるのは分かっている」

慶応・清原勝児選手が帽子のつばの裏に書いてもらった父和博さん直筆の「氣」「己を信じて」「リラックス」「センター返し」という文字=埼玉・レジデンシャルスタジアム大宮で2022年10月22日、浅妻博之撮影
慶応・清原勝児選手が帽子のつばの裏に書いてもらった父和博さん直筆の「氣」「己を信じて」「リラックス」「センター返し」という文字=埼玉・レジデンシャルスタジアム大宮で2022年10月22日、浅妻博之撮影

 勝児選手は父からの助言を胸に刻んでいる。「氣」「己を信じて」「リラックス」「センター返し」。帽子のつばの裏には和博さん直筆の四つの言葉がある。

 「氣」には「絶対に打ってやるという気持ちを出し、投手に気持ちで負けるな」という父の思いが込められている。

 「己を信じて」「リラックス」「センター返し」は「誰しも緊張するのは当たり前。センター返しを意識し、地に足を着けて野球をしてこい」という父からのメッセージだ。勝児選手はその言葉をベンチ裏で確認し、打席に立つ。

 「注目されることを気にしてプレーしてしまう悪い面がある。注目されるのは分かっているので、自分のメンタルでプラスに変えたい」。ユニホームの左肩の裏には「お父さんの気持ちが込められたセンター返しを思い出せるように」と西武時代にヘルメットにつけていた背番号「3」のワッペンが縫い付けてあるという。

高校野球の2022年秋季関東大会で次男である清原勝児選手のプレーを見つめる父和博さん=埼玉県営大宮公園野球場で2022年10月29日、浅妻博之撮影
高校野球の2022年秋季関東大会で次男である清原勝児選手のプレーを見つめる父和博さん=埼玉県営大宮公園野球場で2022年10月29日、浅妻博之撮影

 東京都出身。慶応幼稚舎(小学校)時代に少年野球チームの「オール麻布」に入り、6年生の時に選抜チームの「ジャイアンツジュニア」でプレーした。慶応普通部(中学校)時代は「世田谷西リトルシニア」に所属。慶応高では昨秋からレギュラーになり、チームの5年ぶり10回目のセンバツ出場に貢献した。兄・正吾さん(20)も慶大野球部でプレーしている。

 目標は「チャンスに強い父のような選手」になることだ。小学5年生の頃から、甲子園で活躍する父の映像を見ることが増えた。快音を響かせながら放物線を描く豪快なアーチは目に焼き付いている。

 「自分にしかできないプレーもある。がむしゃらに元気よくやるのが持ち味なので、そこをどんどんやっていきたい」。「清原」のフルスイングが再び甲子園を沸かせる。【浅妻博之】

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