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東日本大震災

2011年3月11日に発生した東日本大震災。復興の様子や課題、人々の移ろいを取り上げます。

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「最も美しい村」を追われ12年 農に生きる男性が秘める望郷の念

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福島第1原発事故前の福島県飯舘村の風景。あぜ道を歩く子どもたち=菅野哲さん提供
福島第1原発事故前の福島県飯舘村の風景。あぜ道を歩く子どもたち=菅野哲さん提供

 「日本で最も美しい村」とも言われた福島県飯舘村は、2011年3月の東京電力福島第1原発事故による放射性物質で汚染し、全村避難となった。元村職員の男性は、質素ながらも自然豊かな故郷に思いを寄せつつ福島市で避難生活を続ける。「帰りたいが、帰れない。でも、村民はやめない」。間もなく事故から12年となる。

 飯舘村は、原発から北西へ約30~50キロ離れた高原の村。元村役場職員の菅野哲(ひろし)さん(74)に原発から最も遠くで避難区域となった村の歩みを振り返ってもらった。

 「経済的に豊かとは言えず、3~5年に1回は冷害や大雪に見舞われる厳しい気候」と説明する。だが、「自然環境がよく、山菜やキノコ類が豊富で半年は食べられた。赤トンボが飛び交う夕日が美しく、楽しく生きられた。近隣の人たちが助け合うコミュニティーが維持され、安心できた」。11年1月時点で人口6152人、世帯数1715。入植は数世代前から近年までさまざまだった。

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