「くやしい判決」 横須賀市の石炭火力発電所、建設停止求めた市民
- ツイート
- みんなのツイートを見る
- シェア
- ブックマーク
- 保存
- メール
- リンク
- 印刷

石炭火力発電は他の化石燃料と比べても二酸化炭素(CO2)排出量が多く、世界的には廃止や削減の動きが広がる。一方、現在も新設やリプレース(建て替え)が続く日本。神奈川県横須賀市で進む石炭火力発電所建設を止めるために地元住民らが国を相手に起こした訴訟で、東京地裁は27日、住民らの訴えを退ける判決を言い渡した。
「くやしい判決だ。若い世代、将来に対する責任を果たしていく。時間がかかろうと絶対に負けられない」。原告団長で横須賀市在住の鈴木陸郎さん(80)は判決後に東京都内で開いた報告会で語気を強め、訴訟を続ける決意を語った。
20代から横須賀市内の高校で教師をしてきた鈴木さんは、東京電力と中部電力が出資するJERA(ジェラ)が、市内で石炭火力のリプレースを計画していることを知ってから、有志らで勉強会を開くようになった。
最初は大気汚染への懸念が強かったが、気候変動対策のため、先進国を中心に石炭火力を減らす動きが進んでいること、日本はその潮流に逆行していることを学んだ。国がリプレースに事実上のゴーサインを出した半年後の2019年5月、鈴木さんらは提訴に踏み切った。
裁判で争点の一つになっていたのが国の手続きの問題だ。火力発電所を建設する事業者は事前に環境影響評価(アセスメント)を実施し、経済産業相が適切に環境への配慮がされていると判断すれば計画を進められる。例外として、発電所をリプレースして温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を減らせる場合にはアセスを簡略化できる。
横須賀の発電所では1960年代以降、石油やガスを燃料とした発電施設が建設されたが、老朽化で17年までに全て廃止された。国はこれらの施設と比較し、リプレース後の施設は排出量の低減が見込めるとして、簡略化の適用を認めた。原告側は…
この記事は有料記事です。
残り442文字(全文1193文字)
時系列で見る
-
太陽光発電計画「災害対策が不十分」 県の慎重な審査、地元要望
42日前 -
大気汚染が生んだ傑作
44日前 -
脱炭素が「大きな市場に」 小泉元環境相が挑戦促す 北海道で講演
48日前 -
薄くて軽くて曲がる太陽電池、実装研究 横浜市と桐蔭横浜大が連携
50日前 -
原発回帰「許さない」 GX基本方針閣議決定 官邸前で抗議
50日前 -
規制委決定待たずGX基本方針閣議決定 西村経産相「問題ない」
50日前 -
政府、GX基本方針を閣議決定 原発推進へ政策転換
50日前 -
中東産油国が注目する水素・アンモニア 日本企業に商機?
54日前 -
川崎市、新築建物に太陽光パネル義務化 東京に次ぎ全国2例目
54日前 -
「くやしい判決」 横須賀市の石炭火力発電所、建設停止求めた市民
64日前 -
地球温暖化、ビールの味が変わる前に 品種改良や技術開発急務
64日前 -
老舗酒蔵が北の大地へ 酒造りにも温暖化の脅威
71日前 -
地球を冷やす 米スタートアップの「炎上商法」と日本への教訓
72日前 -
グレタさん、ドイツで警察に一時拘束 鉱山開発の抗議活動参加中
73日前 -
あるオリンピアンの葛藤 気候危機のいま巨大祭典は開催すべきか
74日前 -
ダボス会議、気候変動やエネルギー安保議論 16~20日
75日前 -
FRB議長、中銀による気候対策に反論 政策決定は政府が行うべき
80日前 -
CO2削減量を「見える化」 ドコモ、サービス利用状況から算出
81日前 -
行き詰まる核燃サイクル 原発大国フランスの悲鳴
85日前