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「くやしい判決」 横須賀市の石炭火力発電所、建設停止求めた市民

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建設中の石炭火力発電所前で抗議する男性=神奈川県横須賀市で2021年4月22日午前9時28分、丸山博撮影
建設中の石炭火力発電所前で抗議する男性=神奈川県横須賀市で2021年4月22日午前9時28分、丸山博撮影

 石炭火力発電は他の化石燃料と比べても二酸化炭素(CO2)排出量が多く、世界的には廃止や削減の動きが広がる。一方、現在も新設やリプレース(建て替え)が続く日本。神奈川県横須賀市で進む石炭火力発電所建設を止めるために地元住民らが国を相手に起こした訴訟で、東京地裁は27日、住民らの訴えを退ける判決を言い渡した。

 「くやしい判決だ。若い世代、将来に対する責任を果たしていく。時間がかかろうと絶対に負けられない」。原告団長で横須賀市在住の鈴木陸郎さん(80)は判決後に東京都内で開いた報告会で語気を強め、訴訟を続ける決意を語った。

 20代から横須賀市内の高校で教師をしてきた鈴木さんは、東京電力と中部電力が出資するJERA(ジェラ)が、市内で石炭火力のリプレースを計画していることを知ってから、有志らで勉強会を開くようになった。

 最初は大気汚染への懸念が強かったが、気候変動対策のため、先進国を中心に石炭火力を減らす動きが進んでいること、日本はその潮流に逆行していることを学んだ。国がリプレースに事実上のゴーサインを出した半年後の2019年5月、鈴木さんらは提訴に踏み切った。

 裁判で争点の一つになっていたのが国の手続きの問題だ。火力発電所を建設する事業者は事前に環境影響評価(アセスメント)を実施し、経済産業相が適切に環境への配慮がされていると判断すれば計画を進められる。例外として、発電所をリプレースして温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を減らせる場合にはアセスを簡略化できる。

 横須賀の発電所では1960年代以降、石油やガスを燃料とした発電施設が建設されたが、老朽化で17年までに全て廃止された。国はこれらの施設と比較し、リプレース後の施設は排出量の低減が見込めるとして、簡略化の適用を認めた。原告側は…

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