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第95回センバツ高校野球

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センバツ甲子園 県初の2校選出 長崎日大、海星 /長崎

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2年連続でセンバツ出場を決め、勝利を誓う長崎日大の選手たち=徳野仁子撮影 拡大
2年連続でセンバツ出場を決め、勝利を誓う長崎日大の選手たち=徳野仁子撮影

 待ちに待った春の切符が2枚届いた――。27日にあった第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の選考委員会で、県内からは長崎日大(諫早市)と海星(長崎市)が選ばれた。長崎日大は2年連続4回目、海星は7年ぶり6回目で、県内からの2校選出は初めて。センバツは3月10日に組み合わせ抽選会があり、同18日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。【松本美緒、中山敦貴、高橋広之、竹林静】

 ◆長崎日大 2年連続4回目

攻守にバランス 昨春敗戦が原動力

 長崎日大は2022年秋の県大会で5試合で51安打を放ち、4失点で優勝。九州地区大会は決勝で沖縄尚学に敗れたものの、攻守のバランスの良さが光る戦いぶりで準優勝を果たした。

 ともに制球力に優れ、防御率1点台の西尾海純(みいと)投手(1年)、広田樹大(きだい)投手(2年)を軸に堅守で流れを作る。打線は豊田喜一選手(同)らが好機でたたみかける力強さが持ち味だ。

 22年秋の県大会は、5試合で33得点。九州地区大会では1回戦で文徳(熊本)を接戦で降し、準々決勝の日本ウェルネス(沖縄)戦は全員安打でコールド勝ち。準決勝では先発の西尾投手が大分商を八回まで散発6安打に抑え、打線は下坂聖磨選手(2年)の適時打、坂本直隆選手(同)の適時二塁打などで着実に得点した。決勝は沖縄尚学に敗れたが、九回2死から豊田選手の適時打で追い上げるなど粘り強さを見せた。

 冬場の練習では、走者を置いた実戦形式のシートノックで守備に磨きをかけ、ウエートトレーニングにも余念がない。沖縄尚学戦に先発して9安打を浴びた広田投手は「強打者を相手にストライクゾーンで勝負できる球威を身につけたい」と体作りに励む。豊田選手らも「全国トップレベルの投手を全員で打ち崩す」と地道にバットを振り込む。

 22年春のセンバツ1回戦で、準優勝した近江(滋賀)に敗れた悔しさが選手たちの原動力。平尾大和主将(2年)は「甲子園では、感動を与えるプレーをしたい」と話す。

 ◆海星 7年ぶり6回目

勝負強さと粘り ダブルエース軸に

センバツ出場が決まり、喜ぶ海星の選手たち=津村豊和撮影 拡大
センバツ出場が決まり、喜ぶ海星の選手たち=津村豊和撮影

 海星は2022年夏の甲子園に出場。信条の「守り勝つ野球」で夏としては46年ぶりに2勝を挙げたが、4強入りした近江(滋賀)に3回戦で敗退した。その悔しさをかみしめながら新チームは発足した。

 22年秋の県大会は決勝で長崎日大に敗れて準優勝。九州地区大会では、左の吉田翔投手(2年)、右の高野颯波(そな)投手(同)の「ダブルエース」と堅実な守備で、1回戦で東海大熊本星翔(熊本)、準々決勝で西日本短大付(福岡)をいずれも1点差で破った。準決勝で沖縄尚学に1点差で敗れたものの4強入り。大会を通じて勝負強さを印象づけた。

 九州地区大会では、全3試合で吉田投手が先発し、高野投手が継投。吉田投手は緩急と制球力が光り、精神力も強い。高野投手は直球の切れと変化球を生かした強気の投球が持ち味だ。

 打線はつなぐ意識が高く、どこからでも好機を作れる。九州地区大会準々決勝の西日本短大付戦では、九回表2死から高野投手、田中朔太郎選手(1年)の連打で勝ち越すなど勝負強さも光る。

 加藤慶二監督は「九州地区大会は『ダブルエース』を軸に粘りの野球ができた。大事な場面で一人一人が自分の役割を果たすチーム」と話す。22年夏の甲子園も経験した捕手の田川一心主将(2年)は「人間力を磨いて、応援してもらえるチーム作りに力を入れてきた。センバツ出場に満足せず、全国制覇を狙う」と意気込む。

念願の2校出場実現 県高野連山口会長

 長崎日大と海星のセンバツ出場決定を受け、県高野連の山口千樹会長は「県にとって念願だった2校同時出場が実現し、大変うれしい。甲子園でも気負うことなく平常心で、はつらつとした試合を見せてほしい」との談話を発表した。

多数参加でき素晴らしい 中崎県教育長

 また、中崎謙司・県教育長は「深い歴史と価値のある大会に郷土の高校球児が多数参加できることは大変素晴らしい。県の高校生の活躍は県民に大きな感動を与え、長崎県をふるさととする全国の方々の大きな誇りとなっている」とのコメントを出した。


長崎日大 学校プロフィル

 長崎県出身の法学者で元日大総長の故永田菊四郎氏が1967年、諫早市に設立。校訓は「至誠・勤労・創造」。普通科とデザイン美術科で男女1285人(2022年12月1日時点)が学ぶ。サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会で16強入りした日本代表の森保一監督(54)は卒業生。柔道部は東京オリンピック柔道男子金メダリストの永瀬貴規選手らを輩出した。

 野球部は開校と同時に創部。甲子園には春3回、夏9回出場し、07年夏は4強入りした。22年春のセンバツは準優勝した近江(滋賀)と1回戦で対戦し、延長十三回の激闘の末に敗れた。OBに広島の大瀬良大地投手らがいる。


海星 学校プロフィル

 フランス人の宣教師ジャック・バルツ神父が1892年に長崎市に創立したカトリック系私立中高一貫校。2006年、男子校から男女共学になり、普通科で796人(22年11月末時点)が学んでいる。校訓は「神愛・人間愛」。

 野球部は1915年創部。現在の部員は51人で、うち半数が寮生活を送っている。甲子園には春5回、夏19回出場。16年春は8強入り。22年夏の甲子園では夏としては4強入りした76年以来、46年ぶりに2勝を挙げた。

 卒業生には阪神の平田勝男ヘッドコーチや、元ヤクルト投手の「サッシー」こと酒井圭一さん、元西武で内野手だった永江恭平さん、日本ハムの江越大賀選手らがいる。

〔長崎版〕

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