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奇跡の傍らで

出産のリアルを描いた人気漫画「コウノドリ」のモデル、荻田和秀医師が命が誕生する現場からの思いをつづります。

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妊産婦の感染症対策 風疹や麻疹、ワクチン接種が要=荻田和秀・りんくう総合医療センター産科医

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新型コロナのワクチンは妊娠中でも接種できる。接種のメリット、デメリットを考慮して判断したい マンガ「コウノドリ」(C)鈴ノ木ユウ/講談社
新型コロナのワクチンは妊娠中でも接種できる。接種のメリット、デメリットを考慮して判断したい マンガ「コウノドリ」(C)鈴ノ木ユウ/講談社

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大から3年が経過しました。相変わらず感染者は多いうえ、季節性インフルエンザなどその他の感染症も増えています。改めて妊娠と感染症について述べたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症で押さえておきたいのは、母体を通じた胎児への感染(垂直感染)は極めてまれだという点です。早産が増えるという報告もありますが、基本的に母体が重症化しなければ問題ありません。これはインフルエンザも同様で、胎児への直接的影響は少なく、抗ウイルス薬も使えるので、新型コロナよりもくみしやすい感染症です。そしてこれらの感染症は妊娠中でもワクチン接種が可能です。

 妊娠中の感染が起こす問題は、胎盤を通じた胎児への感染です。胎盤を通るウイルスで最も警戒が必要なのは風疹ウイルスです。このウイルスは胎児の神経系などで悪さを働き、感染した週数によって、赤ちゃんに目が見えない、耳が聞こえないという症状を起こす可能性があります。また心臓に異常が出たり発育が遅れたりといった症状が報告されています。日本では一時期、定期接種が中断したため、抗体のない女性が妊娠中に風疹にかか…

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