「塩対応」に徹した岸田首相 与党議員質問にも守り 衆院予算委
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岸田文雄首相は30日の衆院予算委員会の基本的質疑で、野党だけでなく与党の質問に対しても従来の域を出ない「塩対応」の答弁に徹した。23日の施政方針演説で「国会の場で、国民の前で、正々堂々議論する」と表明したのとは裏腹の対応と言え、野党は首相周辺の「疑惑」を含め、徹底追及を続ける構えだ。
「茂木幹事長の発言については、児童手当を巡りさまざまな議論が行われている中で、一つの意見だと認識している」。首相の答弁に委員会室はどよめいた。
「発言」とは25日の衆院代表質問で自民党の茂木敏充幹事長が少子化対策を巡り「全ての子どもの育ちを支える観点から所得制限を撤廃すべきだ」と訴えたことを指す。「所得制限は必要」としてきた自民党の従来方針を転換する突然の提案で、首相も同じ考えなのかとの立憲民主党の岡田克也幹事長の質問に対する回答だった。
岡田氏は「与党幹事長の意見を『一つの意見』と切って捨てた。首相と幹事長の意見が食い違っているのなら(茂木氏を)注意した方がいい」と皮肉った。首相は飛び交うヤジを制するように、「いろいろな意見を踏まえたうえで、政府として議論を深めて決定をする」と早口で語った。
首相は与党議員の質問に対しても、守りの答弁を貫いた。
新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザと同等の「5類」に5月から引き下げる政府方針を巡り、自民の松本尚氏が「感染を契機に元々あった疾患が悪化し死亡に至る事態」が起こり得るとして「国民全体」の理解を得るための発言を求めたが、首相は「医療体制のさまざまな準備には3カ月は必要。国民の安心を確保するため段階的に移行する」と淡泊に答えた。
首相は防衛増税の圧縮をかねて訴える自民の萩生田光一政調会長の質問にも、…
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