政府・日銀「共同声明」に相次ぐ見直し論 深刻な不信の副作用
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政府・日銀がデフレ(物価下落)脱却に向けて「2%」の物価安定目標を掲げた共同声明を発表してから1月で10年になる。しかし、ここにきて見直し論が相次いでいる。なぜなのか。背景を探ると、共同声明が現在の日本経済に及ぼす深刻な「副作用」が見えてきた。
30日に共同声明の見直しを提言したのは、民間の経営者や有識者らでつくる「令和国民会議」(令和臨調)だ。提言を取りまとめた一人、日本総研の翁百合理事長は記者会見で「2%の物価安定目標を『長期の目標』に置き直すことで、金融政策が柔軟に動きやすくなる」と主張。同席した三菱UFJ銀行の平野信行・特別顧問も「日本の成長率は1%未満。その中で2%目標が短期に達成できるわけがない」と強調した。
共同声明が発表されたのは2013年1月22日。デフレ脱却を掲げて政権復帰を果たした安倍晋三政権が、当時の白川方明・日銀総裁に迫る形で実現した。安倍政権が掲げたアベノミクスが、「三本の矢」の1本目に「大胆な金融緩和」を据えていることでも分かるように、共同声明の存在がアベノミクスの原動力になったのは間違いない。
しかし、10年を経て状況が変わった。共同声明発表から間もない13年3月、安倍政権に推される形で就任した黒田東彦・日銀総裁が推し進めた異次元の金融緩和の「副作用」がここにきて拡大しているためだ。
ウクライナ危機などで世界的にインフレ(物価上昇)が進み、米欧の中央銀行はインフレ抑制のため急ピッチで利上げを進めている。これに対し、黒田・日銀はあくまで金融緩和にこだわったため、日本と海外の金利差が拡大。為替市場では運用のうまみが低下した低金利の円を売る動きが加速し、22年10月には1ドル=150円を超える32年ぶりの円安水準となった。現在も1ドル=130円前後で推移している。
歴史的な円安は輸入コストの増加を通じて国内物価を押し上げ、22年12月…
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