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青嵐の旅人

天童荒太さんの初の新聞連載小説。幕末・明治の激動期を、中央ではなく地方から、市井の人々の視点で見つめる物語です。

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青嵐の旅人

/11 天童荒太 高杉千明・画

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高杉千明・画
高杉千明・画

 ヒスイは、頭上の街道にいる追手から遠ざかる茂みの先へ、迷わずに踏み入った。

 数歩進んだところで、足を止めて待つ。

「罠(わな)かもしれませんよ」

 惣之丞の声がする。

「あほぅ、命の恩人を疑うやつがあるか」

 龍馬が応える。「命を一度預けちょる」

 ほどなく茂みに龍馬が踏み込んできた。ヒスイを見て、人なつっこく笑い、

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