消える渋谷東急、残るワイン売り場 本店の記憶、ソムリエが継承

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ワイン売り場を長年担当する平好美さん=東京都渋谷区道玄坂2の東急百貨店本店で2023年1月25日午前10時24分、道下寛子撮影
ワイン売り場を長年担当する平好美さん=東京都渋谷区道玄坂2の東急百貨店本店で2023年1月25日午前10時24分、道下寛子撮影

 東京・渋谷の東急百貨店本店が1月31日、施設の老朽化のため営業を終了する。ビルは取り壊されるが、ワイン売り場は客の惜しむ声を受けて近くに移転し、存続することになった。人気を支えたのは、この道一筋の販売員だった。

渋谷駅から500m この道一筋

 本店は渋谷駅から500メートルほど先、文化村通りの突き当たりに建つ。1967年に小学校の跡地に開業した。近くには高級住宅街の松濤がある。最新のファッションや高級家具、スポーツ用品などをとりそろえ、高度経済成長の波に乗って駅前のにぎわいは大きく広がった。

 それから約55年。地下1階のワイン売り場「THE WINE」は、世界各地のワイン約2000種類を常時そろえている。平好美さん(59)は82年に東急百貨店に入社して以降、本店の食料品売り場で働き続けてきた。そのうち約35年は和洋酒売り場でワイン販売を担当してきた。

 しかし、百貨店の建物は築50年を超え大規模な改修が必要になり、取り壊すことになった。東急は跡地に2027年度の完成を目指して商業施設やホテルなどが入る地上36階建ての複合ビルを建設する。20年には渋谷駅前の東横店が閉店しており、再開発の波が本店にも押し寄せてきた。

 営業終了を目前に控え、平さんは「この場所が生…

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