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第95回センバツ高校野球

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一歩一歩・龍谷大平安センバツへの軌跡

/上 負けられない府大会、3位決定戦へ 準決勝で大敗、どん底に /京都

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宮津天橋・丹後緑風戦で完封勝ちした桑江駿成投手=わかさスタジアム京都で2022年9月24日、山崎一輝撮影 拡大
宮津天橋・丹後緑風戦で完封勝ちした桑江駿成投手=わかさスタジアム京都で2022年9月24日、山崎一輝撮影

 残酷な光景だった。失点が止まらない。

 2022年10月1日の、高校野球秋季府大会・準決勝。龍谷大平安は、最近2年間で3回甲子園に出場している強豪・京都国際と、わかさスタジアム京都で相対した。

 先発の桑江駿成(2年)が10安打を浴びながらも七回途中までなんとか試合を作り、3点を追う展開で迎えた八回表の守り。京都の高校球界をリードする存在に伸長しつつある相手打線の圧力に、背番号「1」の左腕・伊礼徳風(2年)ら2番手以降の投手陣が耐えられなかった。長打、単打、四球、バント安打、四球。2死をとっても四球、長打、単打……。この回だけで左右4投手が登板したが、6安打、4四球などで9点を奪われ、4―14でコールド負けを喫した。

 新チームとなって初めて迎える公式戦の府大会は、順調すぎるほどの滑り出しだった。初戦となった2回戦から9―0、10―0、9―0ですべてコールド勝ち。準々決勝は、甲子園出場経験のある京都外大西、福知山成美を破って勢いに乗る連合チームの宮津天橋・丹後緑風という予想外の相手。府北部の期待を一身に集め、判官びいきの応援も気になる。龍谷大平安は体調不良の原田英彦監督に代わって川口知哉コーチが指揮を執り、接戦になれば球場がどんな雰囲気になるか分からない、未知の要素に満ちた試合だった。だが三回までに5点を奪い、桑江が2安打完封。10―0の六回コールド勝ちで、危なげなく最初の難関を乗り越えた。

 4試合連続無失点で抑えただけに、準決勝の大敗はショックが大きかった。原田監督も「面白くない。投手がただ投げてるだけで、打者と勝負していない」と苦笑いを浮かべるしかなかった。

 昨夏の京都大会の経験者は、実質的に主将となった遊撃・山口翔梧(2年)のみ。現メンバーでマウンドに立った投手は一人もいない。チームとしての経験不足から、どこかでもろさを露呈する可能性は分かっていた。甲子園を経験した中心選手が残る京都国際とは、試合の勘所を感知する力が大きく違っていた。

 それでも22年は、2年に1回、府大会3位チームに近畿地区大会出場の権利が与えられる年。センバツ出場へ道を開くため、3位決定戦を勝つしかない。試合前夜、7、8人のバッテリー陣と川口コーチが集まってミーティングを開いた。強敵相手に何が足りないのか、誰がどう投げれば勝てるのか。話し合いは1時間以上も続いた。一気にどん底へ落ちたチームの反転攻勢が始まろうとしていた。【矢倉健次】

     ◇

 センバツ出場回数の全国最多記録を更新し、4年ぶりの甲子園に臨む龍谷大平安。復活に向けて一歩一歩前進していった昨秋からの軌跡を振り返る。


 ▽2022年秋季府大会2回戦

洛南    0000000=0

龍谷大平安 104301×=9

 (七回コールド)

 ▽同3回戦

亀岡    00000=0

龍谷大平安 34003=10

 (五回コールド)

 ▽同4回戦

菟道    0000000=0

龍谷大平安 011061×=9

 (七回コールド)

 ▽同準々決勝

龍谷大平安     203113=10

宮津天橋・丹後緑風 000000=0

 (六回コールド)

 ▽同準決勝

京都国際  20100119=14

龍谷大平安 00020002=4

 (八回コールド)

〔京都版〕

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