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第95回センバツ高校野球

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頂戦・センバツ23報徳学園

足跡/上 「主将は投票」監督初の決断 自主性乏しい選手らに喝 /兵庫

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報徳学園の大角健二監督(右端)と選手たち=和歌山市の県営紀三井寺球場で、大野航太郎撮影 拡大
報徳学園の大角健二監督(右端)と選手たち=和歌山市の県営紀三井寺球場で、大野航太郎撮影

 「主将は投票で決める」。2022年夏、報徳学園野球部の新チーム発足のミーティングで、選手たちに1枚ずつ白紙が配られた。主将はこれまで監督やコーチらが話し合って決めてきたが、新チームでは適任が見つからなかった。かつて自身も同校野球部の主将だった大角健二監督は就任6年目で初めての決断をした。

 選手による投票の結果、捕手の堀柊那(しゅうな)(2年)が選ばれた。強肩でプロからも注目される扇の要。しかし、気迫あるプレーとは逆に控えめな性格で「人前で話すのは苦手。正直嫌だった」と困惑した。「みんなで決めたから、みんなで堀を支えてほしい」。大角監督は期待を込め、新チームが始動した。

 しかし、チームはなかなかまとまらなかった。練習で与えられたメニューを終えると「次は何をすればいいんだろう」と動きを止める。自主性が乏しく指示を待つ選手たちに、コーチらは「群れるな!」とたびたび注意した。

 その後、新チームで臨んだ秋季県大会の1、2回戦はコールドで順当に勝ち進んだ。3回戦は雨で順延となり、その日は晴れ間に練習することになった。しかし、練習の予定時間になっても選手たちはグラウンドに現れず、コーチらがグラウンド整備を始めると、慌てた様子で集まった。その後も、雨が強くなると選手たちは足早にグラウンドを去った。

 「少しでも練習したいと思わないのか。自分たちで動くのは退く時だけか」。雨の中、大角監督は選手たちをしかった。選手の思いや試合への意識が一つにまとまらない中、翌日に迎えた3回戦の市尼崎戦は苦戦を強いられることになった。

      ◇

 第95回記念選抜高校野球大会に6年ぶり22回目の出場を決めた名門の報徳学園。甲子園の頂点を目指して戦い抜く「頂戦」を合言葉に掲げる新チームのこれまでの足跡をたどる。【大野航太郎】

〔神戸版〕

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