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宗教を警戒する日本社会 人ごとではない「カルト」=鈴木英生(専門記者)

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初詣に訪れた人たち=東京都渋谷区の明治神宮で1月2日、吉田航太撮影
初詣に訪れた人たち=東京都渋谷区の明治神宮で1月2日、吉田航太撮影

 昨夏来、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題に絡んで、宗教一般を、人権を侵害し公共の福祉に反する破壊的カルトと混同したような議論を見かける。宗教とカルトは、そもそも概念の位相が違う。しかも、実は誰もが両方に広く浅く関係している。

 日本は、「自分は無宗教」と信じる人が多い。NHKの調査(2018年)で、「信仰心がある」人は26%に過ぎない。が、67%は仏壇を拝む。仏教で葬儀をし、クリスマスを祝い、神社へ初詣。多くの人が「宗教を信じない」のに宗教的な行為や行事で忙しい。なぜ、こうなったのか?

 岡本亮輔北海道大教授は、日本で支配的な宗教像を「キリスト教モデル」と呼ぶ。このモデルの宗教は、体系的な教義を持つ教団に信者が所属する。信者は、礼拝や献金をし、教義を生活の指針にする。つまり、信仰と所属、行為が一体だ。欧米は、この「三位一体」が長く浸透してきた。日本でも新宗教などはこのタイプといえる。

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