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大手電力10社の2023年3月期の連結業績予想は、中部電力を除く9社が最終(当期)赤字に陥る見通しとなり、燃料費の高騰が経営を圧迫する実態が浮き彫りになった。各社は電気料金の値上げに踏み切って難局を乗り切りたい考えだが、信頼を揺るがす不祥事が絶えない。国民の理解を得るにはコンプライアンス(法令順守)の改善が急務となっている。
「燃料費の高騰や円安が1年間で急激に進んだ。想定を超える状況が起きた」。関西電力の森望社長は1月31日の記者会見で、急速な事業環境の変化をこう説明した。
電気料金には、振れ幅の大きい燃料費の変動を自動的に反映させる「燃料費調整制度」があるが、この制度には上限が設けられているケースが多い。足元の記録的な資源高を受け、各社は上限に到達している。超過分は自社負担が発生するため、「売れば売るほど赤字」の状態だ。このため、電力大手は自由に料金を決められる企業向け料金などは上限を撤廃している。
しかし、家庭向けの規制料金の値上げには国の認可が必要だ。関電は22年3月に上限に到達しており、電気料金に転嫁できずに負担した額は22年4~12月期で340億円に達した。23年3月期の通期では720億円に膨らむ見通しだ。
各社とも状況は同じで、燃料高で業績は大幅に悪化している。東北電力は1月31日に公表した23年3月期の通期見通しで2200億円の最終赤字になる見込みだとした。従来の予想よりも赤字幅は400億円拡大した。円安が想定以上に進んだことで、火力発電に使う燃料の調達コストが膨らんだ。卸電力市場で調達した電力の費用負担も響いている。担当者は「燃料の調達コストを回収し、安定供給を図るためにも電気料金を値上げして利益を上積みしたい」と話す。
大手電力が他社エリアの顧客獲得を制限し合うカルテルを結んだとされる問題も、各社の経営に重くのしかかる。公正取引委員会は22年12月、中国、中部、九州の電力3社などに対し計1000億円超の課徴金納付命令を含む処分案を通知している。中国電力はこの通知を受けて、22年4~12月期連結決算で707億円を特別損失に計上するなどして、最終損益は1667億円と過去最大の赤字となった。これらが響き、23年3月期は1740億円の赤字となる見通しだ。同様に中部電は275億円、九電も27億円の特別損失を計上したことで、最終赤字はそれぞれ374億円と894億円になった。カルテルには関西電力も関わっているとされるが、公取委に事前に自主申告したとみられ、課徴金減免制度(リーニエンシー)によって課徴金納付を免れると…
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