連載

記者の目

最前線の記者がそれぞれの取材テーマを論じます。1976年にスタートした毎日新聞を代表するコーナー。

連載一覧

記者の目

保育施設の耐震化進めるには 保護者が意識し改善求めて=巽賢司(神戸支局)

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
阪神大震災後、当時の保育園児が作った「じしんのあほ! でもぼくらはまけへん」と題した絵本=神戸市中央区の「みのり認定こども園」で、巽賢司撮影
阪神大震災後、当時の保育園児が作った「じしんのあほ! でもぼくらはまけへん」と題した絵本=神戸市中央区の「みのり認定こども園」で、巽賢司撮影

 私の手元に1冊の絵本がある。タイトルは「じしんのあほ! でもぼくらはまけへん」。1995年1月の阪神大震災で大きく壊れた保育園の園児がその翌年に作ったものだ。登園前で園児たちにけがはなかったが、もし保育園で過ごしていたら危険が及んでいたかもしれない、と当時の保育士は教えてくれた。

全国3315棟が不十分か未確認に

 保育所の建物の強度は子どもの命に直結する。だが、厚生労働省の調査(2020年3月末時点)を分析すると、全国の保育所やこども園など主な保育施設3315棟で耐震性が不十分、もしくは未確認になっている。自戒を込めて言うが、保護者は、子どもが通う施設の耐震性を一度気にかけてほしい。保護者の意識が現状を改善する一つの要素になると考えている。

 「自戒を込めて」と書いたのは、2人の子どもを保育園に預けている私自身、最近まで耐震性に関心を持ったことがなかったからだ。

この記事は有料記事です。

残り1487文字(全文1872文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の特集・連載
すべて見る

ニュース特集