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国会の場で議論し、議案などの採決に加わることは、議員の職責の根幹である。それを怠り続けているようでは、国民の代表として失格だと言わざるを得ない。
国会欠席を続けるNHK党のガーシー(東谷義和)参院議員に対し、尾辻秀久議長が出席を求める「招状」を出した。正当な理由なく、現在開会中の通常国会の召集から7日以内に登院しなかったためだ。国会法に基づき、1949年以来74年ぶりとなる異例の措置に踏み切った。
ガーシー氏は昨年7月の参院選比例代表で初当選して以降、3回目となる今国会まで一度も出席していない。会期中の海外渡航が許可されなかったにもかかわらず、中東のアラブ首長国連邦(UAE)などに滞在しているという。
参院の各党は、この半年間、有権者に選ばれた国会議員という立場の重さを考慮し、慎重に対応してきた。
議院運営委員会が再三出席を促したが、応じなかったため、議長を通じた「参院の総意」として出席を要求した。ただちに帰国し、本来の職務を果たすべきだ。
招状が出されて7日以内に出席しない場合、戒告、陳謝、登院停止、除名のうち、いずれかの処分が科される可能性がある。本人がかたくなな態度を変えなければ、やむを得ない対応だろう。
国会議員は憲法に基づく全国民の代表として、暮らしを左右する法律や政策を定める。行政府への監視を通じて国の針路を軌道修正する役割も担う。そもそも議論に参加しなければ、それをまっとうすることはかなわないはずだ。
NHK党は、「ガーシー氏は海外で仕事をする」「多様性を重視してほしい」などと主張するが、国民の理解を到底得られるものではない。議員数などに応じた政党助成金や歳費を受け取る一方、開き直りの姿勢を取るのは極めて無責任である。
ガーシー氏は動画投稿サイトで著名人を脅迫した疑いなどで警視庁の捜査を受けており、議員としての説明責任も求められる。
公党の議員による国会軽視のふるまいは、国民の政治不信を一層募らせることになる。与野党を超えて、そうした事態を防ぐ努力が不可欠だ。