「視覚障害と文学」巡り対談 マイノリティーが書く小説の可能性
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たとえば障害当事者といったマイノリティーが書く小説の可能性とはなんだろう。そんな問いを巡って「視覚障害と文学」をテーマに語り合うイベントが大阪市内で開かれた。登壇者は、全盲の文化人類学者で国立民族学博物館准教授の広瀬浩二郎さんと、大阪が舞台の小説を多く手がけてきた作家の柴崎友香さん。話題は大阪というまちの魅力や小説の役割など多岐にわたった。
2人の対談は、広瀬さんが会長を務める「視覚障害者文化を育てる会」(4=し=しょく会)の設立20年を記念したイベントの一つとして実現。同会は1961年から約40年続いた「日本盲人福祉研究会」の関西地区メンバーらが創立し、「食・色・触・職」の四つの「しょく」をテーマにしたイベントを年2回のペースで開いてきた。
人間関係を耕す大阪弁
大阪市大正区で生まれ育った柴崎さんは、2005年から東京で暮らす。対談で、まず二つのまちの違いについて聞かれると、一番に感じたのは「大阪弁はしゃべり続けるためにあるということ」と説明。「特に東京のお店で、『これないですか?』と聞いたら『ないです』と言われてめちゃめちゃびっくりした。『ここで会話が終わり?』って。大阪やったら聞いてないことまで返ってくる」と笑いつつ、「大阪弁はコミュニケーションし続けることが会話の目的。会話を続けることで人間関係を耕してるんじゃないかと最近思っています」と話した。
これに応じて「柴崎さんの小説は、登場人物のビビッドな会話を中心に物語が進んでいく。それも大阪と関係しているのかもしれない」と広瀬さん。「大阪発の文学の可能性は?」と柴崎さんに問いかけた。
柴崎さんは「感情であれ状況であれ、どうしたら伝わるかを考えて書くのが作家の仕事」と自身の考えを述べた上で、…
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