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第95回センバツ高校野球

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センバツ高校野球 軌跡 石橋/下 質の高い練習に自信 厚い選手層、逆境で体現 /栃木

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ティーバッティングに励む石橋の選手たち=栃木県下野市石橋の同校で2023年1月28日、鴨田玲奈撮影 拡大
ティーバッティングに励む石橋の選手たち=栃木県下野市石橋の同校で2023年1月28日、鴨田玲奈撮影

 県高野連は石橋の21世紀枠の推薦理由に「文武両道」を挙げた。昨年度は135人が現役で国公立大学に合格。月2~3回は土曜日も午前授業があり、英単語や古文単語などのテストも頻繁にある。

 野球部も例外ではなく、福田博之監督は「少しでもいいから毎日机に向かいなさい」と伝えている。遠征に向かうバスの中では、それぞれ単語帳や参考書を開いて勉強する。主将の横松誠也(2年)は部活後に塾に通っており、「本当に眠い。授業でなるべく理解して覚え、家では簡単に復習してすぐ寝られるようにしている。休み時間も活用して工夫している」と話す。

 ただ、毎日勉強に取り組んでいるからこそ、野球にいきていることがある。平日は毎日7時間授業で、練習は放課後の2時間しかない。他の高校より1時間以上短いが、横松は「短い時間で質を意識しながら練習に取り組めば量を補える。勉強でそれなりの集中力は培っているので、そこは自分たちの強み」と自信をのぞかせる。

 グラウンドもサッカー部、陸上部などと共用だが、限られたスペースで練習を重ねた。昨秋の県大会は、開幕1週間前に、選手32人のうちエースの小林真大(同)や、背番号2の伊藤來煌(同)ら計13人が新型コロナウイルスに感染した。一時は出場辞退を覚悟したが、福田監督が「(選手の)入れ替えができる限りはなるべく出たい」と瀬端徹校長と相談し、メンバーを大幅に代えて初戦に臨んだ。

 先発投手を務めた藤巻翔汰(同)はエースの小林と仲が良く、県大会前も「どっちがエースになっても納得だった」と言うほど、良きライバルでもあった。「小林がいてくれたら心強かったが、出るからには絶対勝とう」と強気にマウンドに上がった。

 夏以降、得意だった変化球にキレがなくなり、自信を失いかけていたが、全5試合のうち4試合に登板。3失点に抑え、チームを4強に導いた。「自分が投げるしかない状況で吹っ切れたような気がする」と振り返った。

 捕手の伊藤や横松が感染したため、これまで練習試合で2回しか実戦経験のない大金莉久(同)が、急きょ捕手を務めることになった。練習はたったの5日間。不安は大きかったが、「野手の多くはコロナにかからなかったので、自分がボールを捕れれば勝てる」と試合に臨んだ。相手チームに連携ができていないと思われないよう、投手が考えている球をしっかりくみ取ることを心がけてリードをした。福田監督も「僕もびっくりするくらいよくやってくれた」と話す。

 「選手層が厚いことが今年のチームの強み。県大会ではそれを体現できた。甲子園では楽しんでいる姿をみんなに見てもらいたい」と横松。センバツ開幕まで、1カ月半あまり。選手たちは憧れの地でのプレーを心待ちにしている。【鴨田玲奈】

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