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第95回センバツ高校野球

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春に駆ける’23センバツ専大松戸

第1部・軌跡/下 肉体強化、長打で躍進 つながる打線、接戦ものに /千葉

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全体練習後、自主的にバッティング練習に励む選手たち=千葉県松戸市で2023年1月28日、近森歌音撮影 拡大
全体練習後、自主的にバッティング練習に励む選手たち=千葉県松戸市で2023年1月28日、近森歌音撮影

 秋の県大会を初めて制し、関東大会に乗り込んだ専大松戸は1回戦をコールドで勝ち上がり、大一番となる準々決勝を迎えた。記念大会となる今春のセンバツに関東地区から出場できるのは、東京と合わせて7校だ。仮に東京から2校が選ばれることになっても、ここを突破して4強に進出すれば、甲子園がぐっと近づく。

 相手は甲子園での優勝経験もある作新学院(栃木1位)。専大松戸の打線は、左の好投手を打ちあぐね、中盤の六回を終えた時点で2点を追いかける厳しい展開となった。

 だが、県大会で逆転勝ちや延長戦を経験した選手たちに焦りはなく、3点差以内なら逆転できると信じていた。「チャンスが来るから、ものにしよう」。こう声を掛け合い、ムードを高めた。

 逆転機が訪れたのは、七回裏だった。平野大地(2年)と宮尾日向(同)が連打でつなぎ、2死一、二塁。ここで、周囲から「センスの塊」と評される清水友惺(ゆうせい)(1年)に打席が回ってきた。

 「直感的に『打てそうだ』と思った」と清水友。真ん中低めに甘く入った初球のストレートをたたいた打球は右翼フェンスを直撃し、2人の走者が悠々と生還した。続く中山凱(同)の適時打で清水友が勝ち越しのホームを踏み、そのまま逃げ切った。

 ワンチャンスをものにする集中力。同点打を放ち、三塁ベース上で拳を突き上げた清水友の姿は、この秋の専大松戸を象徴する場面となった。

 専大松戸の攻撃の特徴は、下位打線まで切れ目がなく、どこからでも点が取れることだ。実際、県大会準決勝では中山、関東大会準々決勝では清水友、そして同準決勝の慶応(神奈川2位)との一戦では上迫田優介(2年)が勝負どころで適時打を放つなど、日替わりでヒーローが誕生した。

 一方、身長167センチの清水友を筆頭に小柄な選手が多く、「超高校級」と称されるような飛び抜けた打者もいない。関東大会の登録メンバー18人の平均は身長174センチ、体重72キロ。甲子園に出場するチームとしては、決して体格に恵まれているとは言えない。

 選手たちがそのハンディキャップを痛感したのが、関東大会決勝の山梨学院(山梨1位)戦だった。2本の本塁打を浴びるなど、相手のパワーに終始圧倒され、得意の接戦に持ち込むことができなかった。

 フィジカルの強化が課題だと感じた選手たちは現在、筋力トレーニングに力を入れている。週に2回、3時間ほど筋トレだけに費やす日を設けているだけでなく、それぞれが自宅などでも自主的に鍛えている。

 秋の大会で見えた長打力不足という課題。一冬越えて克服できれば、甲子園での躍進も見えてくる。(この連載は近森歌音が担当しました)


 ▽関東大会準々決勝(22年10月25日)

作新学院 100020000=3

専大松戸 00100030×=4

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