「スパイ気球」米中関係の不安要因に 米議会猛反発、中国は硬化
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中国の偵察用とみられる大型気球の領空侵入を受け、バイデン米政権はブリンケン国務長官の訪中延期を決めた。中国によるあからさまな主権侵害にもかかわらず決行すれば「中国に弱腰」との批判は避けられないためだ。一方、中国側も態度を硬化させている。米中は2022年11月の首脳会談を受けて関係改善に向けた道を歩み始めた直後に、再び難題を抱えた形だ。
国務長官の訪中延期「侵入は重大」
「首脳会談で合意した私の訪中前に領空侵入した責任は重大だ。(中国は)訪問の目的自体を損なう状況を作り出した」。ブリンケン氏は3日の記者会見で中国の行動に対して不快感をあらわにした。
実現していれば、バイデン政権では初の国務長官による訪中だった。昨年11月の米中首脳会談では「意思疎通の維持」を確認。イエレン財務長官も訪中に意欲を見せており、ブリンケン氏の訪問を皮切りに閣僚級の対話が強化されるはずだった。
しかし、そこで起きた気球の領空侵入問題。米国務省高官によると、ブリンケン氏やシャーマン国務副長官は1日夜の時点で在米中国大使館の高官に懸念を伝達。翌日に国防総省が領空侵入を公表した後も、政府内や議会側と訪中の是非の協議を続けたものの、最終的に「条件が整っていない」と判断したという。
背景にあるのが議会の中国に対する強い反発だ。野党・共和党のマッカーシー下院議長は2日に「中国の恥知らずな主権侵害に対処しなければならない。バイデン大統領は黙っていてはならない」と強調。上院情報特別委員会の副委員長、ルビオ議員(共和党)も「中国のスパイ活動は激しさを増して露骨になっている」などと指摘していた。
さらに、下院に超党派で設置された中国特別委員会のギャラガー委員長(共和党)とクリシュナムルティ筆頭委員(民主党)も2日に共同声明を発表。「中国の脅威が米本土に及んでいることを示している。我々はこの脅威に反抗せねばならない」とバイデン政権に強い対応を迫っていた。
気球は…
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