ルノーの日産支配に終止符 「不平等条約」はなぜ見直されるのか

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
記者会見する(左から)日産自動車の内田誠社長、ルノーのジャンドミニク・スナール会長、ルカ・デメオCEO、三菱自動車の加藤隆雄社長=ロンドンで2023年2月6日、篠田航一撮影
記者会見する(左から)日産自動車の内田誠社長、ルノーのジャンドミニク・スナール会長、ルカ・デメオCEO、三菱自動車の加藤隆雄社長=ロンドンで2023年2月6日、篠田航一撮影

 仏自動車大手ルノーの日産自動車への出資比率が引き下げられ、両社が株式の15%を相互に保有することになった。三菱自動車を含めた3社連合は6日にロンドンで記者会見し、提携関係の見直しを発表した。ルノーによる日産の経営支配の構図が塗り替えられる。約四半世紀続いたいびつな関係はなぜ見直されるのか。日産にとってはどんな意味を持つのか。

発端は1999年の経営危機

 「ここ数カ月間、お互い厳しい交渉をやってきた。私たちは一緒にやっていくしかない」。ロンドン中心部のホテルで開かれた3社連合の会見で、ルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)はこれまでの交渉を振り返りながら、激動する自動車産業の中で提携の重要性を強調した。

 会見は現地時間の朝に設定され、夜も明けきらないうちから日本や欧州の報道陣ら約100人が詰めかけた。カメラのフラッシュが一斉にたかれる中、3社の首脳はリラックスした面持ちで会見に臨んだ。日産の本社がある日本や、ルノーの本社があるフランスを避け、あえて英国を選んだのは「対等な出資関係になることを示すため」(ロイター通信)と報じられている。

 販売不振で日産が経営危機に陥った1999年、ルノーから約6000億円の出資を受け入れ、両社の提携関係は始まった。ルノーはカルロス・ゴーン氏を日産に送り込み、大幅なリストラを断行。業績はV字回復し、2016年には燃費不正問題で経営が悪化した三菱自動車に日産が出資し、3社連合となった。

 しかし、ルノーは日産株の4割強を保有し、経営の主導権を握り続けた。日産のルノー株保有率は1割強にとどまり、フランスの法律上、議決権もなし。14年にはルノー筆頭株主の仏政府が新法を制定してルノー支配を強めたため、日産内部は「経営統合を画策している」と緊迫した。その際は日産の独立が維持されたが、ゴーン氏が18年に金融商品取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕され失脚すると、両社の経営は大混乱に陥り、仏政府は日産に経営統合を提案。日産側が猛反発して対立が表面化した。

 今回の合意前、同社幹…

この記事は有料記事です。

残り2171文字(全文3032文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

ニュース特集