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ブライダルファッションデザイナー 桂由美/1 スマッシングデビュー

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ユミラインのドレスを背に立つ=東京都港区の桂由美ブライダルハウスで2023年1月17日、手塚耕一郎撮影
ユミラインのドレスを背に立つ=東京都港区の桂由美ブライダルハウスで2023年1月17日、手塚耕一郎撮影

 日本初のブライダルファッション専門店を開業して半世紀以上。その流麗かつロマンチックなデザインで女性の美しさを引き立ててきた。「人の幸せになること、日本中をハッピーにすること。そのために今まで仕事をしてきたみたいな気がします」と振り返る。

 桂由美の長いキャリアの中でも、大きな転機となったのは1981年。米ニューヨークの五つ星ホテルで開催された「ジャパン・ファッション・フェア」の一環で、桂が海外で初めて作品を発表した時のこと。着物のお引きずりに着想を得たウエディングドレスを披露すると、人魚のような曲線で優美に裾が広がるデザインが絶賛された。この独自のシルエットは「ユミライン」と呼ばれ、ニューヨーク・タイムズでも「スマッシングデビュー」と評された。この第一歩が海外進出の大きな足がかりを作った。

 「もう、注文が殺到しちゃってね……」と、照れて半ば苦笑しながら当時を回顧するが、ブランドの代名詞ともなったこのドレスが誕生したのは、ある米国人の助言がきっかけだった。「あなたのドレスに使われている日本製シルクは素晴らしいし、デザインもデリカシーがあって良い。だけど米国向けにはどうしても航空運賃や税金で高くなるから、(比較的経済力のある)年配の人を狙った方がいい」と。こうして可愛さや若々しさではな…

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