地球を救う?CO2を石にする夢の技術 日本展開も「有望視」
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世界各国で気候変動対策が急速に進む中、二酸化炭素(CO2)を大気中から回収して石にしてしまう技術が注目され始めている。にわかには信じられないが、地球温暖化の一因であるCO2を回収できれば世界の脱炭素化は大きく前進する。一体どんな技術なのか。地球を救うことができるのか。
大気中から回収
「白い斑点のようなものがCO2です」。スイス北部チューリヒにあるクライムワークス社。担当者が黒っぽい物体を手にしてみせた。持ってみると、書道で使う小さめの文鎮ほどの重さがある。これがCO2が鉱物化した石だという。
同社はCO2を大気中から回収する「ダイレクト・エア・キャプチャー(DAC、空気直接回収)」と呼ばれる技術で世界の最先端を行く企業。屋外に出て、実際にCO2を回収する装置を見せてもらった。貨物用コンテナほどの大きさで、大きなファンを回して吸気口から空気を取り込み、フィルターにCO2を吸着させる。その後、フィルターを100度まで加熱してCO2を分離、回収する。思ったよりもシンプルな仕組みだ。
CO2を石にする工程はどうなっているのか。CO2を鉱物化させる技術と装置を開発した、クライム社と協業するカーブフィックス社(アイスランド)によると、まず回収したCO2を水と混ぜ、炭酸水のような状態で地下数百~2000メートルに圧入する。すると、地層の玄武岩に含まれるカルシウムなどの成分と反応。2年以内に炭酸カルシウムなどの鉱物になる。少なくとも数千年間はそのままの状態で地中に貯留できるという。
温暖化対策の切り札
クライム社は2017年、DAC技術によってCO2を回収する世界初の商用プラントをスイスで稼働させた。排ガスからCO2を除去して排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」ではなく、空気中から直接回収して「カーボンマイナス」を目指してお…
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