二足のわらじで“笑える方言詩”創作 「言葉の埋蔵金」の生き様
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雪国の夜は冷え込んでいたが、客席は笑い声で温まっていた。ステージに立つ姿は、背筋がしゃんと伸びていて昔と変わらない。三十数年前、テレビで活躍していた頃との違いを挙げれば顎(あご)ひげか。しかも白い。そんなふうに年月を重ねたが、よく通る声で津軽弁をテンポ良く発していく。
自作の「言葉遊び」発表
タレントの伊奈かっぺいさん(75)。方言詩人として津軽弁を取り入れた自作の「言葉遊び」を発表している。
ブームになった懐かしい本のタイトルも、この人の話術によって笑いになる。「『気くばりのすすめ』ってNHKの(鈴木健二・元)アナウンサーが書いた本かなと思うでしょ。違いますよ。『きくばりのすすめ』っていうのは津軽弁では、しゃべるんじゃねえってことです。聞くだけにしなさいって」
「聞くだけ」の「だけ」は津軽弁では「ばり」。「きくばりのすすめ」は「聞くだけのすすめ」の意味になる。方言と標準語を交えた軽妙なトークに客席からくすくすと笑いが漏れる。
青森市内のホールで1月13日の夜に開催されたトークライブ「十三日の金曜日」。新型コロナウイルスの感染拡大で中断したことはあったが、1975年から半世紀近く続けてきた。
「びっくりどんき!」
標準語ではハンバーグレストランの店名に聞こえるが「津軽弁では、どれくらい驚いたことかというのを『びっくり どんき』と言います」。…
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