二足のわらじで“笑える方言詩”創作 「言葉の埋蔵金」の生き様

  • ブックマーク
  • 保存
  • メール
  • 印刷
「どうやったら楽しくなるかっていうだけで、この年まで生きてきました」。トークライブで観客に語りかける伊奈かっぺいさん=青森市で2023年1月13日、北山夏帆撮影
「どうやったら楽しくなるかっていうだけで、この年まで生きてきました」。トークライブで観客に語りかける伊奈かっぺいさん=青森市で2023年1月13日、北山夏帆撮影

 雪国の夜は冷え込んでいたが、客席は笑い声で温まっていた。ステージに立つ姿は、背筋がしゃんと伸びていて昔と変わらない。三十数年前、テレビで活躍していた頃との違いを挙げれば顎(あご)ひげか。しかも白い。そんなふうに年月を重ねたが、よく通る声で津軽弁をテンポ良く発していく。

自作の「言葉遊び」発表

 タレントの伊奈かっぺいさん(75)。方言詩人として津軽弁を取り入れた自作の「言葉遊び」を発表している。

 ブームになった懐かしい本のタイトルも、この人の話術によって笑いになる。「『気くばりのすすめ』ってNHKの(鈴木健二・元)アナウンサーが書いた本かなと思うでしょ。違いますよ。『きくばりのすすめ』っていうのは津軽弁では、しゃべるんじゃねえってことです。聞くだけにしなさいって」

 「聞くだけ」の「だけ」は津軽弁では「ばり」。「きくばりのすすめ」は「聞くだけのすすめ」の意味になる。方言と標準語を交えた軽妙なトークに客席からくすくすと笑いが漏れる。

 青森市内のホールで1月13日の夜に開催されたトークライブ「十三日の金曜日」。新型コロナウイルスの感染拡大で中断したことはあったが、1975年から半世紀近く続けてきた。

 「びっくりどんき!」

 標準語ではハンバーグレストランの店名に聞こえるが「津軽弁では、どれくらい驚いたことかというのを『びっくり どんき』と言います」。…

この記事は有料記事です。

残り4935文字(全文5514文字)

あわせて読みたい

マイページでフォローする

この記事の筆者
すべて見る

ニュース特集