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侵攻するロシア軍によるものとみられる砲撃で、ウクライナ南部ザポロジエ原発が危険にさらされる中、他の3カ所の原発が戦時下のウクライナ国内の電力供給を支えている。原発の周辺住民は、どんな思いで暮らしているのか。
雪に覆われた広大な平原を抜け、森の中を車で北上すると、曇り空の下、円筒形の構造物が並ぶのが見えた。ウクライナ西部リウネ州バラシュにあるリウネ原発だ。
ウクライナは1986年にチェルノブイリ原発事故を経験したが、その後も原子力産業は発展した。ロシアによる侵攻前の2021年、原子力による発電量は世界7位で、9位の日本を上回る。発電量に占める原子力の割合は5割を超え、フランスに次ぐ世界2位の原発大国だ。ザポロジエ、リウネ以外に西部フメリニツキー、南部の南ウクライナの2原発がある。
リウネ原発から約3キロ離れたチェックポイントで国家警備隊の厳重な検査を受けた。迷彩服の警備隊員に身分証を示し取材の趣旨を伝えると、「原発はクリーンで安全、最良のエネルギーだ。ロシアの攻撃にだって耐えられる」と語り、通行を許可した。しばらく進むと突如、巨大な集合住宅とショッピングモールが現れた。リウネ原発の従業員が住む団地群だ。
リウネ原発は4基の原子炉から構成される。そのうち3基は旧ソ連時代の80年代に建設され、一番新しい4号機は06年に稼働を開始した。原発城下町のバラシュ市の人口は4万2350人(19年)。住民によると、そのうち2000人が直接原発で勤務し、原発関連の企業を含めると、従業員数は8000人に上るという。
昨年2月のロシア軍による侵攻開始以来、ロシアに占拠された主力の南部ザポロジエ原発が砲撃にさらされたのとは対照的に、リウネ原発が攻撃されたことはない。
同原発に勤務するイゴールさん(27)は、「危険を感じたことはない」と言う。イゴールさんは地元で生まれ育ち、原発技師を養成する専門学校に通った後、原発に就職した。「いつも原発が身近にあり、慣れているからかもしれない。だが、チェルノブイリの原発事故も、東京電力福島第1原発事故のこともよく学んだ。ウクライナの他地域の人には、原発の近くに住んでいて怖くないのかとよく聞かれる。だが、原発の安全性には自信がある」と話す。
「よく誤解されるが、…
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