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沖縄戦

「鉄の暴風」が吹き荒れた沖縄戦から77年。約3カ月に及んだ地上戦は住民を巻き込み、日米合わせて計約20万人が犠牲となった。

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地上戦生き残った「きくさん」 託されたバトン「つなぐ」大学生の誓い

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高校2年の時に家族で沖縄を訪れ、中山きくさん(右)から絵本を贈られた岡明日佳さん=那覇市で2018年8月(岡さん提供)
高校2年の時に家族で沖縄を訪れ、中山きくさん(右)から絵本を贈られた岡明日佳さん=那覇市で2018年8月(岡さん提供)

 「平和のバトン、これからもつなぎます」。1月に94歳で亡くなった沖縄戦の体験者、中山きくさんの墓前に手を合わせ、そう誓おうと、福岡県久留米市の岡明日佳さん(21)=福岡大学3年=が2月下旬に沖縄県を訪れる予定を立てている。岡さんは中山さんの体験を知ったことがきっかけで平和や戦争の問題に関心を抱き、高校生の時に核兵器廃絶を求める活動に加わった。その後も中山さんとの交流を続けてきただけに突然の訃報に動揺したが、平和を願ってきた中山さんの遺志を継ごうと決意を新たにする。

 太平洋戦争末期の1945年、沖縄は日米両軍による地上戦の舞台となった。中山さんは当時16歳で、沖縄県立第二高等女学校の4年生。同校の生徒で構成された「白梅学徒隊」の一員として動員され、沖縄本島南部の壕(ごう)で負傷した日本兵の看護や手術を手伝った。米軍が南部に迫ると学徒隊は解散を命じられた。中山さんは砲弾が飛び交う戦場をさまよった末に生き残ったが、多くの同級生を亡くした。

 久留米市で育った岡さんは小学6年の時に白梅学徒隊のことを知った。学級の担任教諭が沖縄を訪れて中山さんと会い、授業でその話をしてくれたのだった。中山さんらの体験を描いた「きくさんの沖縄戦」という絵本を皆で読み、10代の女子学生までもが戦争に巻き込まれ、…

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【沖縄戦】

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