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「侵攻」が変えた世界

ロシアのウクライナ侵攻開始からまもなく1年。侵攻によって大きく変容した世界各地の状況を探ります。

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「侵攻」が変えた世界

水面下広がる支援疲れ(その2止) インフレ欧州、募る不満 対露制裁に不協和音

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 「中立国の大統領の任務は、このひどい戦争を交渉で早く終わらせるよう主張することであり、さらなる戦争の要求をすることではなかったはずだ」「最優先すべきなのはオーストリアとその国民の利益であり、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)のエリートからの称賛ではない」

 オーストリアの極右・自由党のキックル党首は2日、自国のファンデアベレン大統領を強く批判する声明を発表した。その前日、ファンデアベレン氏はウクライナのキーウ(キエフ)でゼレンスキー大統領と会談し、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援強化を約束。だが、キックル氏はそれを「(戦争を激化させることで)双方の無数の兵士や民間人の死に加担していることになる」と断じた。

 ウクライナ侵攻後、自由党はEUの対露制裁やNATO諸国による軍事支援を批判してきた。ウクライナ支援への欧米の連帯を揺るがす主張だが、自由党は国民の支持を拡大。1月に発表された世論調査の政党別支持率で約28%を獲得し、首位に立った。1月29日に実施された北東部ニーダーエスターライヒ州議会選挙ではこの州を牙城とする与党・国民党から大量の票を奪い2位に躍進。独紙ウェルトはこの選挙結果を「自由党の(政権…

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